少し前から Alffy Rev というEDM系DJ/プロデューサーが、アジアの音楽界で話題になっています。
彼は今日のインドネシアや東南アジアの音楽を世界へ広げようと様々な音楽プロデュースを手掛けています。
そしてそのどれもが若い才能を集結させた楽曲でとてもエネルギッシュ。サウンドも溌剌としていて、まさに「世界に飛び立つアジア」という表現がぴったりなのです。
今回はそんなダイナミックで若さにあふれたトラディショナル/EDMサウンドについて書いていきたいと思います。
次世代の新しい力を証明
♬ Wonderland Indonesia
自然信仰の神秘的な幕開けから、一気に現代のEDMへドラマチックに展開されていきます。
そこからガムランなどのインドネシア伝統楽器を多用し、周辺地域を代表する伝統音楽や子ども向けの音楽などをカバーメドレーに。
パプアニューギニアやバリ島にまつわる多様な音楽構成で、様々な多様性も内包していることを伝えています。
歌い手の Novia Bachmid は2002年生まれの歌手/女優。
The Voice Of Indonesia にも出場しています。まさに次世代に向けて若い可能性を広く伝えた瑞々しい一曲です。
2021年9月に発表してから、すでに一か月あまりで2500万再生を突破。こう言ってはなんですが、東南アジアの音楽ではかなり勢いのいい再生数です。
♬ The Spirit Of Papua
パプアニューギニアをフューチャー。
確かにこうやって聞くと東南アジア特有のガムランビート(?)はEDMとすごく相性のいい楽器ですよね。この響きに注目してEDMに落とし込んだのは、素直にすごいなぁと思ってしまいます。
ちなみに歌い手の Nowela Mikhelia はインドシアンアイドルの第8シーズンの優勝者。さすが圧巻の歌唱力です。
希少な「訓練されすぎてない声」
今、メインシーンでは人から賞賛を得るための歌い方があまりに多すぎはしないか、と思うことがあります。
高音が出れば出るほどいい、低音が深ければ深い方がいい。正確なピッチとか超越したリズム感とかもそうですね。
確かにそれらはすごい技術でありギフトだと思うのですが、例え声が細かったり発声が安定していなかったり、表現力が未熟だったりしていても
それがその人の「今を見せる表現」でもあるので、私はここにもギフト同様の価値があると思って聞いています。
語弊があるといけないのですが、訓練された声がいいとか悪いとかではないのであしからず。アギレラみたいな歌ウマ系の歌手も、あるがままの声の歌手も、等しく「人の心を動かす」ことで賞賛されるのが音楽の醍醐味だなと思うんです。
Alffy Rev がフューチャーする歌手は、まだまだ歌い手として可能性を秘めたまっさらなアーティストも多く、今しか聞けない素の声を大切にして作品を作っているところも個人的に好感度が高いです。
♬ The Beauty Of Bali
歌い手の Meiska Adinda は The Voice KIds Indonesia のファイナリスト。とても素直な発声で飾らない透きとおるような声が魅力的です。
こういう声をEDMで聴けることが何だか不思議だな~って思います。
Gus Teja の操る笛の音もまるで人が歌っているように躍動的で心が震えました。
♬ Beautiful We Are
バリの先進的だった歴史を紐解くドラマチックな作品。ポップに寄せているので一番聞きやすいかもしれません。
Hanin Dhiya の天使のような声も美しくてお気に入り。
それにしてもどのPVも予算がすごいことになってそうですね…国の観光プロモーション映像よりお金がかかってそう(笑)
Alffy Revとガムラン音楽
“Wonderland Indonesia”のメイキング映像。雄大な自然美が大きな見せ場ですが、それと同時に手を抜けないロケハンなども過酷そう。多くのクリエイターたちがこの作品にどれだけの思いを込めたのかが伝わってきます。
Alffy Rev は1995年生まれ。9才の頃から音楽に目覚め10才でギターを学ぶようになります(PVでも流暢にギターをプレイしていました)。
ロックギタリストとしてキャリアを開始し、そこから今日の音楽とインドネシア音楽の融合に注目し様々なプロデュースを手掛けています。
彼のEDMスタイルに欠かせないのが、東南アジアを代表するガムラン(Gamelan)の音色です。
スパやヨガ、エキゾチックなホテルのフロントで流れているあの音色ですね。
ガムランとは古代ジャワ語において「叩く・打つ・掴む」等の意味を表す動詞『ガムル』に由来し、インドネシア周辺地域にも類似した音楽があります。
演奏楽器には青銅製や鉄製の打楽器や、鍵盤楽器や竹製、撥弦楽器などがあり、古代詩の朗詠も主な要素としてあげられます。
一言でガムラン音楽と言ってもその種類は地域によって様々に派生していて、数十種類もの呼び名があります。
もともとは宗教的要素の強い音楽で儀式に使用されていましたが、影絵芝居用ではなんと一昼夜を要する長大な作品もあったようです。
Alffy Rev の音楽は過去と今をつなぎ、そしてインドネシア音楽の未来を力強く証明しているように感じます。
インドネシアに限らず、東南アジア音楽のさらなる進化、そして世界でのより広い認知という点において、今後も彼の音楽制作には注目したいです。
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ここまでお読みいただきありがとうございました!
今後も色々な音楽を聞いてブログに書いていきたいと思いますので、お時間があるときにおつきあい頂けたら嬉しいです!
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