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MONO考えHITO感じる 世界の音楽紹介ブログ

【DREAMCATCHER ドリームキャッチャー 考察】「グループの個性」で挑む、K-pop戦国時代とパーソナライゼーションな世界

BEcause

 

最近では把握することさえ難しくなってきた、K-POPグループ「超飽和状態」問題。

どのグループも完成度が高く、さらにイケメン&美女ばかりだからこそ、何からorどこから聞いたらいいかも分からない…。

 

そんな方にぜひおススメしたいのが、今回ご紹介するガールズグループ

【DREAMCATCHER ドリームキャッチャーです。

 

♬ DREAMCATCHER-BOKA


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現在筆者の最推しガールズグループ。

ずっとずっと応援していたのですが、なかなか認知が高まらない…ということで、ここでおもいきりその思いをぶちまけたいと思います。

 

そして、今回はあえてメンバーよりも楽曲に焦点をあて、

K-POPというとんでもないレッドオーシャンを、個人ではなく「団体で」いかに闘い抜いていくかという、

彼女たちの唯一無二なグループ像についてもお伝えしていきます。

※メンバー紹介やグループの変遷については最後にさらっとふれる程度ですのであしからず。

 

 

低音が異様にヘビーなK-popという音楽

Dystopia : Road to Utopia

 

彼女たちの音楽をご紹介する前に、まずK-pop界全体の音楽的変遷について軽くふれておきたいと思います。

 

10年前の第二次K-popブームでは、日本でも人気だったKARAや少女時代、SHINeeなど、その名の通り圧倒的にPOP色の強い楽曲が多くヒットしました。

Juliette (Rearranged) [Live]

Juliette (Rearranged) [Live]

  • provided courtesy of iTunes

 

同時にBIGBANG人気の影響でだんだんとHIPHOP色が強くなり

今ではK-popと言いつつ、チャート上位にはHIPHOPサウンドを主体とする曲が目立つようになりました。

 

そもそも、K-POPはとにかくベースやビートが爆音という特色があり、これが人々を躍らせ夢中にさせた要素の一つでした。

当時、車内で少女時代の「Oh!」をかけた際のビート爆音の衝撃は今でも忘れられません。

何の気なしにかけたつもりが、前曲に置いていた世界的某ロックバンドより数段ビートが重く録音されており、さらに悪いことにベース重視でカーステレオを選んでいた私の車体からは、それはもうとんでもない音が出たのです(笑)

運転中なのに、その衝撃に体がビクっと跳ね上がりました(危ないっつーの…)

Oh!

Oh!

  • 少女時代
  • ダンス
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

▲かわいい顔してめちゃくちゃヘビーなサウンドもK‐popの魅力の一つ

 

この、低音が異様に爆音という要素を引き立てるジャンルがまさしくHIPHOPであり、現在のBTSBLACK PINKの世界的な成功につながっているのではないかと私は考えます。

実際当時の少女時代やワンダーガールズもアメリカ進出はしていましたが、どちらもPOP寄りの楽曲での参入でした。

もちろんSNSの広がりやアジア音楽市場の成長など、他の要因もたくさんあると思いますが、「Cool」に重きをおく欧米カルチャーにおいて、爽やかなPOPコンセプトよりHIPHOPサウンドに分があったことも否めないかと思います。

 

では、このK-POPというサウンドを最大限に活かせる音楽ジャンル。

HIPHOP以外では他に何があるでしょうか。

 

これに目をつけたのが、

本題【DREAMCATCHER ドリームキャッチャー 】のダークロックというコンセプトです。

 

メタルロック×ピュアダーク…K-popが未開拓だった中二層ジャンル

Raid of Dream

 

前置きが長くなりましたが、DREAMCATCHERドリームキャッチャーの音楽コンセプトは、ダーク×ロックです。

ビートが重いというK-popサウンドの特徴にフィットした、これまでにK‐popでは無かった独自のジャンルでした。

目のつけどころはBABYMETALなんかと通じるものがあるかもしれません。

 

ターゲットは既存のヘビーロックファン、そこに付随するロリータカルチャーやアポカリプスのように退廃的な世界観に共感する層。

要するに、日本でいう中二カルチャーファンです(爆)

 

♬DREAMCATCHER-BEcause


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でもね、これってめちゃくちゃ大切なことだと思う。

なぜなら、少なくとも「K-popに興味はあるけど、スタイリッシュで華やかなダンスより見たい&聞きたい世界がある」

という一定の層を引き付けるカードを得たわけですから。

 

また、そんな世界観だからでしょうか。

驚くことにK-popガールズグループでありながら、ほとんどのドリームキャッチャーのアルバムにメンバーのビジュアルは映されていないのです

[Dystopia : Lose Myself] - EP

[Dystopia : Lose Myself] - EP

  • Dreamcatcher
  • K-Pop
  • ¥1222

 

メタルバンドがメンバーのビジュアルに重きをおくことが少ないように、彼女たちも自分たちの世界観を第一に、これらの流れを踏襲しているのかもしれません。

 

そして同時にこの世界観に必要不可欠な「ピュアサイド(=清純派ドレスを着て歌うピュアパート)」を添えることで、K-popグループとしてのバランスも自然と強まります。

これはきっと、悪魔が主役の世界観には必ず天使や讃美歌が必要なのと同じ理論ですNE♡(適当)

THE HEART OF EVERYTHING

▲こういうイメージ。…あ、Within Temptation は大ファンなので怒らないで!!

 

なので、ドリームキャッチャ―の曲は北欧メタルや日本のアニメとの親和性が非常に高い。

彼女たちの楽曲が合う漫画やアニメ…ヲタの皆さまは瞬時に思い浮かべることができるのではないでしょうか?(私はいくつか思い浮かびます 笑)…ということは、その層の新規ファンを獲得できる下地を得ているわけです。

 

さらに、こういったディストピア的世界観は、数あるK-popグループのなか奇跡的にも未だ未開拓のコンセプトでした。

こうして彼女たちは、K-POP界の「ジョーカー」的存在になったのです。

 

♬ DREAMCATCHER-Odd Eye


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衣装もメイクも毎回素敵なんだ…。程よくオンニらしさも残しつつ、スタイリッシュなだけじゃない、危なっかしい儚さもあるのがよき。

清純パートを思いっきりピュアっピュアに仕上げるコントラストもクラクラする~♡

 

強力なグループコンセプト


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▲よもやK-popで“devil eyes come…”というコーラスを聞くことになるとは…!

 

そもそもメタルロックやデスメタルなどのジャンルは、世界観を大切にしすぎるぐらい大切にします。

その世界観も含めての「音楽」ですから、当然強力なメッセージ性そして独自の設定やストーリーを、自分たちの音楽に盛り込んでいるのが普通です。

これはドリームキャッチャーも例外ではありません。

 

彼女たちは、人々の悪夢憎悪と対峙するために歌い踊っています(という楽曲上の設定)

だからこそ彼女たちの曲は「ナイトメア」感満載ですし、ふとした曲でメタルの歌詞に泣かされてしまうように「弱者の心の揺れ動き」にも頻繁に焦点をあてています。

間違っても「気になるオッパとデートに行く服が決まんなーい☆」的な歌詞は存在しないのです。

 

極めつけになりますが、彼女たちのファンはInSomniaと呼ばれます(爆)。

不眠症になるほど彼女たちの音楽が必要な絶望的状況なのか、彼女たちの音楽に夢中で不眠症になってしまうのか…。(誰うま

どちらにせよ、なかなかに痺れるSっ気に富んだネーミングです。

 

音楽もパーソナライゼーション?


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更なるSNSの広がりやZ世代の台頭によって「社会に対する自分自身の貢献、及び価値観」

を体現できるマーケットが、今後よりいっそう強化されると言われています。

一般の大衆性で選ばれる「今何が売れているか」ではなく、「今自分が何を好きか、するべきか」を埋め合わせてくれるモノや現象に、人々は対価を払いつつあるのです。

一つの<メジャー>で社会を覆うのではなく、いくつもの<マイナー>で作られた空間が<共存>している感じかな。

 

コンセプトがしっかりしていて「自分たちの価値観はこれ」と意思表明できる人や企業が支持される時代。

※これは何事にも白黒つけ、すべてをYes/Noで言いきることが支持されるというわけではありません。

あらゆる人権や倫理観に寄り添い、企業として悩みながらも前進していく覚悟があるという姿勢をしっかり表明することが重視されるのではないかと思います。というか、それを希望します。

迷いさえ表明せず、問題に沈黙し、お茶を濁す姿勢こそが淘汰されていくのだろうと筆者は考えます。

 

音楽業界は比較的個人の価値観を尊重するマーケットではありましたが、

それでも今後は、世界のどこかに一定数存在している潜在的ファンを意識した、もしくはパーソナライゼーションに適したものが、これまで以上に支持されるような気がします。

今まで以上にヒットチャートは形骸化するだろうし、SNSのフォロワー数や再生数などの、大衆を前提とした「数字」の意味も弱体化していくと思う。

 

そう考えると(偶然かもしれませんが)K-POP戦国時代におけるドリームキャッチャーの闘い方は、現代を生き抜く一つの良い例なのかもしれません。

 

The End of Nightmare

 

冒頭で彼女たちの“認知が高まらない”と書きましたが、改めてドリームキャッチャ―についてまとめてみた今、

それほど認知は高まらなくていいし、それが今後の「当たり前」になるのではないかと思い直しました。

 

ただ、パーソナライゼーション化した世界で一つだけ気がかりなのは、発信側が真にその意思を楽しめているかということ。

とくにパフォーマーや演者という職業は、受け手を意識しすぎては元も子もないので、ドリキャも彼女たち自身がこのコンセプトを心から楽しんでくれていたらいいなと願っています。

 

結局のところ「歌いたい曲を歌ってよね、私たちは勝手についていくからさ♡」というのがファンの本音ですよね(笑)

 

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◆DREAMCATCHER (ドリームキャッチャ―)

Eclipse

2014年結成の韓国ガールズグループ。

前進グループはMINX(ミンス)。2016年にメンバー2人を追加、7人体制となりグループ名をDREAMCATCHERに改名する。

 

2021年8月に日本でのマネジメント契約終了。

参考:PROFILE | DREAMCATCHER Japan Official Site

 

悪夢や憎悪から人々を守るというグループコンセプトのK-POPとしては異色の設定があるめずらしいグループ。

各メンバーには「誰かに追われる夢」担当など、悪夢担当が振り分けられいる。

dews365.com

 

現在までの活動期間、メンバーの離脱や長期休養、大きなスキャンダルなどもなく、非常に安定しているグループでも有名。

 

▶そのほかのガールズグループについてはこちら

musiccloset.hatenablog.com

musiccloset.hatenablog.com

musiccloset.hatenablog.com

 

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ここまでお読みいただきありがとうございました!

今後も色々な音楽を聞いてブログに書いていきたいと思いますので、お時間があるときにおつきあい頂けたら嬉しいです!

 

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