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【日本・モンゴル外交関係樹立50周年】モンゴルのイメージをアップデート!都市に、大草原に響く、力強く美しい詩たち

 

2022年、日本とモンゴルの間では外交関係樹立50周年の節目の年を迎えています。

日本・モンゴル外交関係樹立50周年記念特設ページ | 在モンゴル日本国大使館

 

モンゴルと聞くと日本では “大草原 、相撲、スーホの白い馬馬頭琴?)、ゲル、チンギス・ハーン” あたりでイメージが固まっている方も多いと思いますが、近年首都ウランバートルでは若者を中心に近代的なカルチャー欲が沸騰中。

それに呼応するようにモンゴルのポップシーンもジワジワと熱を帯びてきています。

 

音楽シーンでは The HU が西欧で大成功を収めたことも記憶に新しいかと思います。

こちらの記事ではThe HUについて、部分的にとりあげています。

musiccloset.hatenablog.com

 

ロシアと中国に挟まれ、かつては広大な大地を駆け抜けた騎馬民族の国。そしてそれ以上に、モンゴルは近代の歴史にとても複雑な背景を抱えている国でもあります。

こちらの記事では、そんなモンゴルの歴史について詳細に書かれており読み応えたっぷり。

reki.hatenablog.com

 

今回はそんなモンゴルの曲についてご紹介します。

ぜひ音楽をきっかけに彼らの美的感覚、そのルーツ、そして今なお燃える自由への情熱を感じとって頂けたら嬉しいです。

 

 

ICE TOP


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1990年代の社会主義崩壊後、モンゴルではヒップホップ文化が急速に受け入れられたといいます。

民主主義が始まったばかりのモンゴルで、言論の自由は何よりも大切にされており、今や首都ウランバートルではヒップホップ文化が定着しているのだそう。

そもそもモンゴルでは自分たちの生活や理(ことわり)を歌う「詩文化」というものがあり、ラップで「思いの内を語りまくる音楽」に、そもそもの下地があったことも大きな理由だったかもしれません。

モンゴリアンラップのパイオニアの一人 ICE TOP は、そんな政治腐敗や国民の気持ちを代弁することに注力する代表的なポリティカルラップグループ。

彼らの音楽からもモンゴルが求める自由の風と熱をじわじわと感じます。

 

また女性の立場が比較的安定しているモンゴルでは、女性ラッパーの台頭も早かったようです。

モンゴル初の女性ラッパー Gennie 。めちゃくちゃクールです。


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“モンゴルのことをモンゴル語で歌う”

そんな当たり前なことが実は決して当たり前ではないこの世界で、彼らの音楽はよりいっそう胸に響くものが。

 

▶参考記事:揺れる国で「言論の自由、意思表明の強力なツールだった」。詩文化の国モンゴルのヒップホップシーンが言葉にするもの | HEAPS

とても読みやすく勉強になった記事です。ぜひお時間あるときに一読されることをおススメします!

 

The BAATAR


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The BAATAR はモンゴル民族音楽アメリカンカントリーの融合を試みる、新しいジャンルの歌手です。

モンゴルの広大でどこまでも“自然な”自然と、アメリカのゆったりとしたカントリーフォークが心地よくマッチしています。

どこか BEGIN 味を感じますが、そう考えると音楽のグラデーションってちゃんと理由があるもので、沖縄-アメリカーモンゴルのつながりに、何となく納得してしまえる不思議な魅力のある曲です。

この方の母音の歌い方が好き。

 

Uka


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Uka はモンゴルで活躍する歌手/女優。

キウイというグループの中心メンバーとして活動していましたが、2014年の解散を期にソロへ転向。

現代でも人気のあるポップ/ヒップホップアーティストです。

The Voice Of Mongolia の第一シーズンには審査員として参加。優勝チームを導きました。


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Erdenechimeg


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最近この方の音楽ばかり聴いてます。

おそらくエルデンチメグさん…でいいと思うのですが詳細な読み方が不明…。

モンゴルの文化復興に力を入れており、様々なフェスティバルや催し物にも参加されているようです。歌手としても大御所な方。

伸びやかで神秘的な歌声ですが、同時に果てない温もりも感じる大好きな歌手です。ぜひ来日して頂きたい。

 

こちらの曲はモンゴル歌唱とチルサウンドが重なって不思議な感覚になれる曲。でも心地いい。


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The Wasabies


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日本進出を目標にバンド名を“ワサビーズ”と銘打ったガールズグループ。

グループ名に違わず、ワサビーズのHPでは並々ならぬ日本進出への野心を感じられます。

www.thewasabies.com

どうしても日本にいると欧米カルチャーばかりに気が向かいがちですが、こうして私たちの国に心を向けているグループや文化がいることも忘れてはいけないと思う。

もちろんそれはショービジネス(お金儲け 笑)ありきの目標ですが、彼女たちの曲をきっかけにモンゴル文化が日本で浸透する価値、またはその逆の価値は、それよりももっと大きいものだと感じます。

事実、ウランバートルでは近年若者のカルチャー欲が止まらない状態。いつか日本だけでなくm-popが色々な国でも聞けるようになったらいいな。

 

Batzorig Vaanchig


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モンゴル民族音楽を演奏するバンド Khusugtun(フスグトゥン)のメンバー 

Batzorig Vaanchigラトビアのフォークバンド Auļi とのコラボ曲。

両者に通ずる、中世もしくはそれ以前から脈々と受け継がれてきた人としての「強さ・固さ」を感じられる印象的な音楽です。

やはり大陸の音楽はどこかで音のもつ響きや深みがつながっていて、とても相性がいいですね。

Auļi についてはこちらの記事でご紹介しています。

musiccloset.hatenablog.com

 

Khusugtun は2015年のAGT(Asia's Got Talent)にも出演しており、世界にモンゴル音楽を知らしめた代表的なバンドです。


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モンゴルという国に息づく、詩文化。

チンギス・ハーン以前に文字をもたなかったモンゴル民族は、口頭伝承によって自分たちの生き方や思想、ルーツや信条などを後世に伝えてきました。

ある時は伝承に間違いや誤解が起きないよう、韻を用いて誤りを防いだり、独自のルールを設けたりと、彼らと「詩」は切っても切り離せない関係にあり、まさしくモンゴルの魂そのものだと感じます。

今回ご紹介した曲もほとんどが「詩」にウェイトがかけられた音楽構成で、意味は分からずとも一節一節が印象に残る曲が多かったように思います。

 

モンゴルとヒップホップ。

一見すると気づきにくい共通点ですが、そこには確かにモンゴルが切望してきた「自らのことを、自らの言葉で、自らが歌う」という、自由への熱が感じられます。

混沌とした今だからこそモンゴルの「詩文化」に注目し、彼らの音楽を聴いてみるのも、私たちに何かの気づきをもたらしてくれるかもしれません。

 

▶ほかにおすすめのアジア音楽はこちら

musiccloset.hatenablog.com

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ここまでお読みいただきありがとうございました!

今後も色々な音楽を聞いてブログに書いていきたいと思いますので、お時間があるときにおつきあい頂けたら嬉しいです!

 

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