あまり私たち日本人には馴染みのない国、ポーランド。
けれど最近では、ウクライナ避難民の受け入れ先として真っ先に名前のあがる国となり、日本の報道でもよく耳にする国になりました。
それではその言語とは?
同じスラブ語圏としてウクライナ語とも近い(でも遠い)存在と言われているポーランド語。
こちらの記事ではポーランドのコーラスグループ Studio Accantus の曲をご紹介しながら、ポーランド語の響きや彼らのパフォーマンスについてまとめていきます。
▶Uwolnij nas(Deliver Us 『Prince of Egypt』)
※uwolnij…release/free , nas …us “Free us”
ポーランド語とは
ポーランド語はスラブ語圏に属した、ラテン文字表記の言語です。
世界中で約4000万人近くの方たちが使う日常言語であり、ポーランド共和国の公用語でもあります。
諸説ありますが、一般的にポーランド語習得は中級以上に難しく、日本語と同レベルの就学時間が必要だとされています(泣)
ポーランド語はポーランド共和国の公用語であり、この国で暮らすおよそ3860万人の人々の日常言語です。
-略ー
ポーランド語は系統的にはインド・ヨーロッパ語族の有力な語派の1つであるスラヴ語に分類されます。
-略ー
ポーランド語はスラヴ語の1つですが、キリール文字で表記されるロシア語とは異なって、英語、ドイツ語、フランス語などと同様に、ラテン文字(つまりローマ字)で表記します。
ラテン文字表記ですがその発音は一部異なり、代表的な部分では
- 「W」を「ヴ」
- 「C」を「ツ」
の音で読んだりします。
ポーランドの首都である Warszawa ワルシャワは「ヴァルシャヴァ」と発音します。
ほかにも濁音や西欧語圏とは異なる表記や発音がいくつかありますが、“読み”だけに着目すると5~6割はローマ字読みで何とかなるか…?ぐらい、
実は日本人でも何となく読むことは可能だったりします。
またお隣のウクライナ語と比較すると、2割ほど理解できるとよく言われますが、
一方はキリル文字、一方はラテン文字という違いがあるからか、避難民の報道では両者会話に苦労していることも伺えます。
ですが、これもまるっきり語源の異なる日本人からすると、どちらも「音」だけで聴くと似通っている部分もあり、
- 良い…dobry(波)…добре(dobre・宇)
- 私…Ja(波)…я(ya・宇)
など、一部の言葉には共通のイメージが強く結びついていることも分かります。
また英語の構造とは違い、格変化によって文が作られることも大きな違いです。
ポーランド語は超難解言語ではありません!まず知っておきたい5つの特徴 | ポーランドなび -WITAM!-
こちらの動画は英訳がついているので、より二つの言語の構造が分かりやすく比較できます(約13分)。
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似ていたり全然違っていたりこれは混乱しそう……
Studio Accantus について
Od początku działania studia naszą dewizą było pokazywanie słuchaczom, a później również widzom, polskich wersji musicalowych i filmowych utworów. Piosenek, do których albo trudno było dotrzeć, albo których w polskiej wersji językowej w ogóle nie było.
Studio Accantusの主な目的は、ミュージカルナンバーや劇場音楽、すなわちこれまでに披露することが難しく、ポーランド語版として聞く機会のなかった音楽を“ポーランド語”でお見せすることです。
Studio Accantus はおそらく初めて、ポーランド語を使い世界のミュージカルヒットを歌うパフォーマンスグループです。
詳しいメンバー紹介はあがっていませんが、通常男声女声合わせた10名程が流動的に活動しているようです。
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※marzenie…dream, mam…have “I have a dream”
これ好きー!ブロードウェイも驚きの上手さ、とくにラプンツェルは声が合い過ぎ!
感覚的にはアメリカのアカペラグループ Voctave に近いかもしれません。
YouTubeチャンネル登録者数は2022年5月現在約60万人、アップした動画の数も非常に多く、定期的にコンサートなども開催しています。
Najlepsza muzyka
Studio Accantusの曲はどれも情熱的で、楽しみながらポーランド語を聞くことができます。
言葉の意味が分からなくても、知っているテーマや英単語と合わせると、ポーランド語との距離がぐっと近くなるかもしれません。
ここではおすすめの曲をご紹介していきます。英訳もあるのでぜひ比較して聞いてみてくださいね。
※jeden…one, z…of, nas…us “One of us“
ライオンキングの続編『ライオンキング2』の挿入曲。
前作の主人公であり今作で王となったシンバと、その娘のキアラ。そして今作で登場するコブを中心に物語は語られます。
コブの父親(実際は跡継ぎ)はかつての敵スカーで、スカーはシンバの父・ムファサ王を殺した憎き仇ですが、キアラとコブは互いの立場を超え惹かれ合っていきます。
この曲はシンバが娘やプライドランドを守りたいあまり、コブを一方的に迫害するシーンで歌われます。
ここに至るまでも複雑なやりとりがあるのですが、その全てを受けとめ謝罪をしに行った先で激しい憎悪を向けられるコブ。
“お前は私たちの仲間ではない、恨みを忘れないし二度と信じない…”
このように動物たちが激しくコブを弾劾する様は、ディズニーではめずらしく現実剥き出しの社会を見せられてドキッとしますね…。
オリジナルの演奏も迫力がありますが、語尾に子音の多いポーランド語は鋭さが際立ち、Studio Accantus も映像を食らう勢いでエモーショナルに表現しています。
コブ、良い子だし魅力的だから余計に切なくなっちゃうんですよね…
ちなみに作品の副題は「Simba's Pride」。ムファサから受け継いだ王としてのプライドで、最後にシンバがコブに対してとった選択の結末。機会があれば是非ご覧頂きたいです。
※p
シンシアが歌う主題歌『Stand Up』は高く評価され、その年のグラミーでも彼女はマイクを手にしました。
黒人の苦難の歴史に直結するテーマでありながら、こうしてポーランド語で歌っても何の違和感もなく、
むしろ時や場所は違えど、同じ「自由」を掴むために立ち上がった民族として、彼ら自身がこの曲やこの作品に共鳴しているよう。
ラストの斉唱は、まさに一聴の価値ありという迫力。
自由を追い求める人たちの情熱が彼らの歌声から炎のように燃えあがります。
声量や歌唱技術だけでは説明のつかないこの圧倒的なパフォーマンス。いつかコンサートで聴いてみたい!
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別の意味で驚いたのが、彼らの表現の幅の広さです。
これまでパッションを重視したパワーソングばかりご紹介してきましたが、こんなにアジアっぽく柔らかい表現もお手のもの。
とくに普段のパフォーマンスでは見られない「過剰なおめかし」的な歌唱も聴けて、そのまんまるな声に癒されました。
あてられているポーランド語の言葉も曲に合っていて耳に優しく残りますね。
この他にも『Greatest Showman』『Hamilton』など様々な曲をアップしているので、ぜひ Studio Accantus のチャンネルをチェックしてみてくださいね♡
音楽と言葉と特別感
世界の音楽を聴くとき、切っても切り離せないのが歌詞、すなわちその国の「言葉」です。
例え意味は分からなくても気に入ったら口ずさんで、正しい発音など気にせずに適当な言葉を覚えてしまうこともありますよね。
私はこの「入口に立った」感じがとても好きで、その感じを味わいたくて世界の音楽を聴いてきたという一面もあったように思います。
広く浅くそして生来の怠け癖も加わって、そこからちゃんとした言語の学びに至らないのがお恥ずかしいですが…
絶対に関わりのないと思っていた言葉でも(北マケドニア語とか…)、一度その土地の音楽を聴けばその言語と触れ合ったことになり、
さらに有難いことに、歌詞として頻出する「愛する」「希望」「美しい」など前向きで優しい意味の言葉ほど自然と耳に残ったりもします。
世界の音楽の歌詞を見たり聞いたりすることは予想以上に脳の刺激になるし、
自然と覚えてしまった言葉は、その音楽に対する「特別感」も増やします。
色々な言語にふれる機会としてもゆるーく、時に少しだけ刺激を持たせながら、
世界の音楽をご紹介していければと思っています。
▶この記事で紹介したミュージカル音楽についてはこちら
“Prince of Egypt”
“Lion King”
“Mulan”
“Harriet”
▶このほかのポーランド音楽についてはこちら
▶このほかのコーラスに関係する音楽についてはこちら
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ここまでお読みいただきありがとうございました!
今後も色々な音楽を聞いてブログに書いていきたいと思いますので、お時間があるときにおつきあい頂けたら嬉しいです!
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