日本にいるとあまり馴染みのないポーランド音楽。
ですが、実は彼らの音楽はとてもユニークで繊細で興味をひかれるものばかり。
今回は私の大好きなポーランド音楽の中から、とくに近年高い注目を浴びている姉弟デュオの Kwiat Jabłoni クヴィアト・ヤブウォニ についてご紹介です。
メンバーと略歴
Kwiat Jabłoni クヴィアト・ヤブウォニ はポーランドのフォークポップミュージシャン。バンド名の意味はリンゴの花。(英語だと“アップルブロッサム”みたいなニュアンスでしょうか)
2018年首都ワルシャワにて、弟の Jacek Sienkiewicz(ヤツェク・シェンキェヴィチ) と 姉の Kasia Sienkiewicz(カシャ・シェンキェヴィチ)で結成されました。彼らの父親はポーランドで有名なロックシンガー Kuba Sienkiewicz(クバ・シェンキェヴィチ)。
Hollow Quartet というバンドを経て、2018年「
ポーランド音楽ならではのユニークな芸術性と確かな音楽力、そしてどこか馴染みやすい素朴なメロディーによってどんどん人気となり、2020年11月現在では2000万回以上の再生回数を記録。
2019年オリジナルデビューアルバム『Niemożliwe(ありえない)』をリリース。このアルバムは国内最高7位をマークしています。
ステイホーム中の Kwiat Jabłoni。さりげない色彩がポーランド全開で素敵。ヤツェクのカップ欲しい。
素朴で優しく、どこか凶暴性を感じる音楽
フォークポップスを主軸としたサウンドを展開するクヴィアト・ヤブウォニ。
主に弟のヤツェクが作詞作曲、マンドリンを担当、姉のカシャがピアノを担当することが多いようです。
自然な音の素朴さや温かみが特徴である一方、父親譲りなのかチリチリと隠せない炎が見え隠れする曲作りも彼らの魅力。
また二人から紡がれる何気ないハーモニーも作品のスパイスとして欠かせません。
ここからはそんな彼らの音楽についてご紹介していきます。
2020年11月リリースの最新曲。
彼らにしては重めのビートが新鮮。その分これまでよりキャッチーで親しみやすさもでてきた感じ。冒頭からリフレインするコーラスパートも小気味よくて好きです。
ポーランド語はスラヴ系に属していて格変化が多いので、一音節のなかの語尾の処理が忙しい。それも聞いているうちに癖になるのが乙なもの。
彼らのオリジナル曲「
クヴィアト・ヤブウォニとはまったく違う世界観をもつラルフの声(音楽も)ですが、さらっとこのノスタルジーな雰囲気に入れてしまうのはさすが。
物語のプロローグのように静かに染み渡る冒頭のマンドリンも印象的です。
カシャとラルフの気ままなハーモニーを支える、ヤツェクの温かみのある低音ボイスにも癒されますね。
ノスタルジーに振り切った、これぞクヴィアト・ヤブウォニという1曲。
まるで絵本のなかに迷いこんだような…ぼーっと影絵を見ているような…何ともいえない浮遊感を味わえます。
後半は豪華なストリングス構成で聞き手を圧倒。最初から最後まで彼らの世界観に浸れる豪華な曲です。
いぶし銀の渋い曲ですが、クヴィアト・ヤブウォニの浮世離れしたハーモニーがとてもマッチしています。
なんとなく彼らの音楽に狂気めいた甘さを感じていたのですが、この曲との相性でそれが確信に(笑)。圧倒的にこの曲と乖離した世界観をもつ二人だからこそ怪しげな美しさを感じるのかもしれません。
ラストのコーラスフレーズもかっこいいのですが、ここにも得体の知れない恐怖が(とくにカシャの小鳥のような声)。
ちなみにクヴィアト・ヤブウォニ以前のバンドHollow Quartetでもロックテイストな曲を披露していました。
一定して低音のカシャのヴォーカルが凛々しくて素敵。マンドリンのリフもこじゃれてます。
実はおもしろいポーランド音楽
私がポーランド贔屓だからというのはあるのですが、ポーランドの音楽は本当におもしろいです。
すでにポーランド映画は世界で確固たる地位を築いているわけですが、私にとってはそれと同じくらいポーランドの音楽シーンも非常にユニークで繊細でときに豪快。
ポーランドは近代以降他国に翻弄されながら自分たちのアイデンティティーを守ってきた歴史があるので、音楽に対しても思い入れが深いように思います。
そしてその世界観も独特で一筋縄ではいかない(褒め言葉です)アーテイストが多く、とくにPVのセンスは抜群です。
聞けば聞くほど…とは言いますが、ポーランド音楽はまさにそれ。
もしクヴィアト・ヤブウォニで「いいかも」と思ったら、是非ほかのアーティストも聞いてみてください。きっと新たな音楽の発見があるはず!(=沼入りするはず)
まだまだ紹介したいポーリッシュアーティストはたくさんいるので、今後のブログでも書けたらいいなと思っています。
ポーランド版ELLEのミュージッククイズ。彼らの声でファレル・ウィリアムスを聞くとなんか変な世界線に迷った感じ(笑)