ふと、疲れたなと思ったときに聴こうとする音楽はそんなに多くないかもしれない。
自分のため息を肯定してくれるところから始まり、無理やり前を向かせるような情緒かき乱すようなサウンドもいただけない場合も多い。
その分、実際に聞き流しもでき、かつ自然と心のなかにスッと「音」や「言葉」が入ってくる音楽は予想以上に染みるものだ。
Mina Okabe の音楽は優しく、ほどほどの距離を保って心を癒してくれる。そんなスマートな響きからも彼女の知的な感受性が垣間見える。
▶Every Second
デンマーク人の父親と日本人の母親を持ち、コペンハーゲンを拠点に活動するシンガーソングライター。
2021年8月にデビュー・アルバム『Better Days』(ベター・デイズ)をリリース。
アルバムの収録曲である「Every Second」は160万本以上のインスタグラムのリールが作成され、これまでに合計25億回以上の再生を記録している。
彼女の音楽はボサノバにインスピレーションを受けている曲も多く、ファーストインプレッションは落ち着いた印象を受ける。
その一方でオールドインディーポップのようなキラキラ感もちりばめられているところが、SNSのポエミーな部分や思い出をクリップしていきたい私たちのアクションと相性がよかったのかもしれない。
▶I’m Done
▶Walk Away
続くEP『Spinning Around』では、目まぐるしく変わった自分の日常や内なる気持ちを赤裸々に歌っている。
▶Talk To Me
少しだけ粗めなギターサウンドと控えめだが凛としたビートがぴったり。彼女の作品のなかでも強さがあらわれた素敵な曲。
▶Rain
アルバムでもとくに印象的な曲。コロナ禍のなかで思ったことを歌ったんだそう。
すべてが閉鎖的で実際に閉鎖的なことがよいとされていた頃、確かにこの状況を誰かのせいにしたくなったり、自分のささくれだった心をまるで自分のものではないように放棄したりしたくなったこともあった。
“I don’t want to be the reason I’m feeling stuck
Want someone to blame for being messy as fuck
Say I’m alright Know it’s not ok to lie”
でも自覚しながらそう思ってしまうことは違うと分かっているわけで、行き場のないため息のようなものがチリ積で蓄積されていた日々。この曲を聴いてそんなあの頃が一気に蘇ってきた。
もしかしたら彼女も遠いデンマークの地で、そんな溜め息をこの曲に託したのかもしれない。
一時のブームで去ってしまうにはあまりにもったいない彼女の音楽。
一つ一つがアルバムの写真のように特別で、嘘偽りのない「あのとき」を映し出し、まるで彼女の曲に当時の空気や情景が宿っているかのよう。ぜひリールでもほかのポストでも、彼女の魅力が多くの人に伝わればいいなと思う。
私も久しぶりにアルバム整理でもしてみようかな。
▶そのほかオススメのシンガーソングライター
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ここまでお読みいただきありがとうございました!
今後も色々な音楽を聞いてブログに書いていきたいと思いますので、お時間があるときにおつきあい頂けたら嬉しいです!
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