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MONO考えHITO感じる 世界の音楽紹介ブログ

【Jackson Browne ジャクソン・ブラウン】世界と人間を見つめ歌い続ける、アメリカを代表するシンガーソングライター

Downhill From Everywhere / Little Soon To Say

世界情勢にめっきりやられてしまって、元気を出したりその逆だったり、

相変わらず高低差の激しい毎日を送っています。

多かれ少なかれ皆さんそうだと思いますが……

 

そんな中、私がここ最近聴き始めたのが、大学の頃に貪るように聞いていたシンガーソングライターの曲たち。

Ellie Greenwich エリー・グリニッチ、Marc Beno マーク・ベノ、

Judee Sill ジュディ・シル などなど……

音楽ブロガーさんとのやりとりのきっかけで、久しぶりに Tim Buckley ティム・バックリィまで棚から引っ張り聞き出した際は、さすがに自分の心の疲労も認めるようになりました。

 

60~70年代のアメリカのシンガーソングライターの曲は、本当に人間の内面に迫るものが多くて、

普段聴くには少々重いけど、今のように世界全体が何かに<抵抗>していく際に生じる一人一人の「負荷」にはものすごく効きます。

歌詞や曲だけでなく、歌手が纏う雰囲気だったりぶっきらぼうに語る哲学なんかが、すっと心のなかに入ってきて沁み込んでいくのが分かるんです。

 

そして自分の心がいかに渇いていたか気づく。

 

今回は、多くのシンガーソングライター(以下SSW)のなかでも、私が大好きな

Jackson Browne ジャクソン・ブラウンの音楽についてまとめていきます。


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Biography

ジャクソン・ブラウンは1948年ドイツ生まれのロサンゼルス育ち。アメリカのウェストコーストを代表するSSWです。

1960年代後半からニコ、イーグルス、ニッティー・グリッティー・ダート・バンドなどへの曲提供・バンド参加を経て、デビュー前から注目を浴びるように。

Mr. Bojangles

Mr. Bojangles

  • provided courtesy of iTunes

 

1972年にはデビューアルバム『ジャクソン・ブラウン・ファースト』を発表し、その高いソングライティングが評価されるようになりました。

続く『レイト・フォー・ザ・スカイ』『プリテンダー』なども着実にヒットし、

1980年リリースの『ホールド・アウト』は全米1位に。

1960~1970年代の彼の作品はどれも名曲揃いで、メジャーに通じるヒット作でありながら人間の内面にも優しく迫る、非常に繊細な芸術性が両立しています。

ローリングストーン誌は『1970年代に最も完成された作詞家』と彼を絶賛。

2004年にはロックの殿堂にも名を刻み、西海岸エリアだけではなくアメリカ全体を代表するSSWとして知られています。

 

Music

とにかく名曲揃いのジャクソン・ブラウンですが、こんなご時世なのでとくに心に染みわたる、優しく瑞々しい曲をご紹介したいと思います。

 

Rock Me on the Water


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名曲揃いのデビューアルバム『ジャクソン・ブラウン・ファースト』のなかでも

1,2位を争う傑作。

彼は敬虔なクリスチャンでもあるので、歌詞にはよくキリストが登場します。

ただそれが無宗教者の私を含め、当時の多くの若者の心を打ったのは、クリスチャンの形式的な荘厳さや戒めではなく、

彼の音楽がより人間臭い「悩み」や「贖罪」に通じる人々のフラストレーションを優しく歌いあげたからだと思います。

 

この曲で繰り返される “Rock Me on the Water(水の上で私を揺らしてください)”も、

歌詞の響きもさることながら、その情景が目に浮かんでくるとても好きなフレーズ。

世界の平和や人々の苦しみに寄り添う彼の音楽が、すでにここから始まっていることにも感慨深いものがあります。

 

Late for the Sky


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サードアルバム『レイト・フォー・ザ・スカイ』収録。

色々な意見があると思いますが、おそらくこれが彼の代表曲であり、最も完璧に近いフォークを体現した名曲だと思われます。

 

歌詞についてここでは割愛しますが “Late for the Sky” に込めた大切な人との別れ、

自分の気持ちとの決別、そして夜明け前を表すような陰影のあるジャケット…

これらすべてに人間だけが作り、感じることのできる「余韻」があって、

私たちが日常を営みながら感じる「悩み」や「もどかしさ」が、ふとした瞬間に美しく、まるで守りたくなるようないじらしさをもたらすように表現されています。

 

筆者自身、この曲をどれだけ聴いてきたか分かりません。大学帰りで色々悩んでいるときも、この曲を聴きながらぼーっと車窓を眺め電車に揺られていたものでした…。

 

The Load Out/Stay


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毎日の店終いや退社するときの、何とも言えないあのざわつきと店員さん同士の会話が好き。

この曲を聴くと、同じようにミュージシャンのコンサート終わりの情景を垣間見ることができます。

 

熱狂が去って観客も帰り、椅子や舞台が元のように片付けられていく時間。

これからツアーバスに戻って、何の音楽を聞こうか。今夜はどこに泊まって、明日はどんな会場で歌うんだったか。

そんなパフォーマンスの余熱を、片付け途中の会場の端っこで何となくピアノを弾きながら物思いにふける、ジャクソンの姿が目に浮かんでくるようです。歌詞が美しすぎるんだが。

ジャクソン自身がいかに自分のチーム、自分の音楽を支えてくれる人たちを大切にしているのかが分かります。

そしてそれは観客への感謝にも…


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『The Load Out』から間髪入れずにそのままつながるこの曲。

「もうちょっとこのまま。もう一曲だけ歌っちゃおう。きっと周りも大目にみてくれるさ。今はいろんなことを忘れて、あと一曲だけ…」

 

自分たちのチームへの愛を歌い上げてから、そのままこの観客と一緒にいたいという感謝にもっていく美しさときたら!

その素朴さ、自然さ、誠実さ。どこを切り取っても最高のSSWだと思う。

彼がどれだけ人を、音楽を愛しているのかが伝わるメドレーです。

弦楽器の巨匠 David Lindley デビッド・リンドレイの変声ボーカルも仲の良さが伝わる。純粋に音楽を楽しみ人生を謳う人たち……あーもう大好きすぎる♡♡♡♡♡

Palm Meadows Benefit 1978

 

音楽と社会運動

1980年代のジャクソンは曲中の歌詞で表現するだけでなく、実際の社会活動でもアクティヴィストとして活躍していきます。

 

こちらは1979年に起こったスリーマイル島原子力発電所放射能漏れに抗議することを呼びかけた「No Nukes」のコンサート。ジャクソン自身が発起人です。


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ジョン・ホール作曲のこれ、めっちゃいい曲じゃないすか……?第二フレーズで歌い出すのがジャクソン。

カーリー・サイモンブルース・スプリングスティーンなども参加(ブルースとジャクソンは盟友のような間柄でした)。

 

ほかに南アフリカアパルトヘイトへの抗議アルバム『Sun City』にも参加。

Sun City:.. -Digi-


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ちょっと見ただけでもトンデモネー歌手ばっかりの曲。今見ても抗議活動としての音楽の形を考えさせられる名作MVです。

 

とがき

現在もジャクソンは歌い続け、活動し続けています。

 

コロナ禍のなか同時代最高のライバル(?)であり盟友だったジェイムズ・テイラーと。


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人間の内面、そして世界の真実へ真摯に目を向けてきたジャクソン・ブラウン

 

だからこそ、彼の音楽は平時のときはとても考えさせられるし、こうやって社会が不安定なときには心に潤いを与えてくれるのかもしれません。

まるで、一人じゃないよ、一緒に悩もうと言われているみたい。

今後も彼の音楽で癒されたり勇気づけられたりしながら、アップダウンしていこうかと思います。

 

今後は、60年代のSSWについても少しずつ書いていこうかな。

 

▶そのほか社会活動に関する音楽についての記事はこちら

musiccloset.hatenablog.com

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ここまでお読みいただきありがとうございました!

今後も色々な音楽を聞いてブログに書いていきたいと思いますので、お時間があるときにおつきあい頂けたら嬉しいです!

 

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