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【岡崎律子から藤井風まで】始まりの季節にふと聴きたくなる、私が人生を共にしてきた曲たち(日本の歌詞編)

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いきなりですが、今回は筆者が人生を共にしてきた歌詞たちをご紹介します。

春ということで、色々なことに踏み出したり振り返ったりする季節となり、少しだけ感傷に浸ってみました。

 

つらいとき・楽しいときに聴いてきた曲というわけではなく、

心の軸に居座り続ける、何ともどっしりした歌詞が多めです(笑)

30代という限定的な曲になってしまいますが、懐かしく、あるいは新鮮な気持ちで聞いて頂けたらと思います。

 

 

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歌詞が好きな曲って、やっぱり曲も好きなものが多い。

同じ歌詞でもどんな音にのせるかで伝わり方や説得力がまるで違います。

強いメッセージを敢えて控えめなフレーズにのせて寛容や優しさを生ませたり、もどかしい歌詞を大きなフレーズに乗せることで、その悩みが周囲を巻き込む壮大なものに変わったり。

曲の歌詞に対する影響力でも同じですね。

ぜひ、言葉の動きと音の動きの連なりにも注目してみてください。

 

Good Luck!-林原めぐみ


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いいえちがうよ スピードじゃない

今を生きること

 

つらいときも 耳を澄ましてね

その瞳を 閉じないで

全てを 見届けよう

それは きっと力になる

 

引用元:林原めぐみ『Good Luck!』歌詞より(作詞・作曲:岡崎律子

 

故・岡崎律子さんの曲や歌詞はとても優しい。そしてとても厳しい。

とくにこの曲は良くも悪くも私の生き方を決定づけたような気がする。

おはよう

歌は声優のレジェンド、林原めぐみエヴァ綾波レイ、コナンの灰原哀)さん。二人はまったく違う性格なのにすごくリスペクトしあってました。

 

念のために言っておくと、つらいときは逃げた方がいいし、見たくないものは見なくていいと思う。

それこそ自分の安全や命に危険があるときは当然のこと。その危険な事象から離れることは絶対逃げじゃない。

 

ただ、その事象の本質や原因を知ろうとする前と後では、自分の選択肢や他者への共感力は広がる。これも間違いないことだと思う。

自分が知りえるところまでは知ろうとしたい、という趣旨の歌詞は私に合っていたし、それが共感力という名の力になるのであれば私はそれが欲しかった。

 

子どもならではのちょっとした諍いや大人になってからの理不尽な現場など、これを聞いて自分を納得させてきたので、私にとってとても大切な人生の一部になっている曲です。

もちろん自分を傷つけてまで無理をしようとは思わないし、全てを知った気になりたいなど傲慢なことは思わないけれど、

私にはこういう生き方の方が逆にストレスがないのかもしれないな、とこの曲を聴くたびに思うのです。

 

あぁ-大黒 摩季


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人はどちらにつくかで 見方が変わってしまう

あれは身を引いたのか それとも逃げ出したのか

 

引用元:大黒摩季『あぁ』歌詞より(作詞・作曲:大黒摩季

 

小さい頃、私は何かの事象について、それぞれの意見が分かれるところから偏見はスタートすると思っていた。

つまり「見方が違うから、人はどちらかにつく」と思っていた。

けれどちょうどこの曲を聴いて、本当の意味での偏見は意見が分かれたその先に生まれるということを知った。

そういう意味で私にとってこの歌詞は衝撃で、言葉の意味など知らずとも初めて「ポジショントーク」なるものを意識した瞬間となった。

 

そのときにぼんやり思ったのだ。

感情では常に自分のなかで「賛成」や「反対」が生まれてしまうけど、どちら側に立ったとしてもなるべく多くの見方をするべきなんじゃないかと。

自分のポジショントークを展開しながら、相手のポジショントークを理解しようとすることは不可能じゃなさそうだということも。

 

もちろんこんな小難しいことを考えていたわけじゃないけれど、この歌詞のすべてに「きっとこの先こういう人生が待ってるんだろうな」と思わせる何かがあったし、

摩季さんの歌声に惹かれたこともあって、その後の人生で何度も何度も心の中で繰り返すフレーズになった。

 

HAPPY-BUMP OF CHICKEN


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終わらせる勇気があるなら 続きを選ぶ恐怖にも勝てる

無くした後に残された 愛しい空っぽを抱きしめて

借り物の力で構わない そこに確かな鼓動があるなら

どうせいつか終わる旅を 僕と一緒に歌おう

 

続きを進む恐怖の途中 続きがくれる勇気にも出会う

無くした後に残された 愛しい空っぽを抱きしめて

消えない悲しみがあるなら 生き続ける意味だってあるだろう

どうせいつか終わる旅を 僕と一緒に歌おう

 

引用元:BUMP OF CHICKEN『HAPPY』歌詞より(作詞・作曲:藤原基央

 

強さが弱さで、弱さが強さ。

そんな普遍の真理を命の誕生である“バースデーソング”につなげる藤くんの感性に乾杯です。

バンプの曲全てが私の聖書のようなものだけど、この曲はその中でも特別。

イントロの重なる不協和音も、雑音でパンクしそうになる中、何かを掴もうとする感じが出てて最高に好き~

 

本当の世の中は「無」や「まやかし」で出来ていて、もしかしたら自分が受けた一つ一つの傷につきあう必要はないのかもしれない。死んだら自分の手元には何も残らないしね。

だけど実際に「痛い」と感じることをスルーした先と、向き合った先では、自分自身が持っている世界は変わる。

目に映る実際の世界は変わらないけど、その世界を「語る」私たちが変わることは、きっと交わりを繰り返す私たち<集合体>にとっていくらかの意味はあるんだと思う。

だからアーティストは歌い、役者は演じるんじゃないかな。

 

当時からそんなことを考えていたのか、今となってはよく覚えてない。

でもこれを聞きながら、初の一人暮らしでぼっちバースデーしながらビールを飲み会社での色々に悔し泣きしたことは覚えてる。

諸行無常のなか、ちっぽけな自分の命を生きていくこと、私はやっぱり自然で美しいことだと思います。

 

モアザンワーズ坂本真綾


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自由って 切なくないですか 大人になったんだね

自由って 切なくないですか 少しだけ

自由って 切なくないですか 一人になったんだね

自由って 切なくないですか どこまでも

 

引用元:坂本真綾モアザンワーズ』歌詞より(作詞:岩里祐穂、作曲:菅野よう子) 

 

いつも思うのだけど、岩里さんの歌詞って抽象を極めているのに、それをちゃんと人生の色をつけて分かりやすく歌う真綾さん凄すぎだと思うんだよね…

本職は声優だけど、日本を代表する歌手であり役者だと思う!

 

自由は一つの完成されたものであって、それはきっとどんな形であれ、一人に一つしか存在していない。

だから手にした瞬間に他者から乖離し大地に放り出されたような、何かから押し出されたようなそんな孤独感を感じるんだろうな。

一人になったんだね…の音の流れ方、天才すぎる。この一節だけで自由が一体どれほどのものなのか、感覚的に伝わってきませんか。

歌詞だけだと冷たく聞こえてしまうけど、この曲だけで自分のなかの孤独がだいぶ救われる気がする…。

 

人間は孤独。

そんな耳慣れた一つの哲学を、こうやって音楽化できたことが素晴らしいと思う。

 

“帰ろう”-藤井 風


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ああ 全て与えて帰ろう

ああ 何も持たずに帰ろう

与えられるものこそ 与えられたもの

ありがとう、って胸をはろう

 

去り際の時に 何が持っていけるの

一つ一つ 荷物 手放そう

憎み合いの果てに何が生まれるの

わたし、わたしが先に 忘れよう

 

引用元:藤井 風『“帰ろう”』歌詞より(作詞・作曲:藤井 風)

 

コロナ禍のなかでこの歌詞を書けたことがすごい。

誰だって困難な時ほど何かのストーリーを伝えたいと思うはずだけど「何のストーリーも語らない」という歌詞を風さんが選んだことにすごく感動した。

「与えられるものこそ与えられたもの」という一文が車内のラジオで流れたときは、思わず目に涙が滲んでしまった。

 

こういう循環のつながりのなかで私たちは生きていて、その中で最後に残るのは何かへの執着や誰かを納得させる意味じゃないのかもしれない。

きっと言葉にできない共有の記憶だったり、知らない人からの親切だったりが残って、でもそれ自体に名前や価値をつけることはありふれ過ぎていて普段誰も気にしない。

でも時の流れだったり人が交わっていく世界のなかで、そういうものがきっと何かの根幹になって社会を動かしていて、私たちの生きる原動力になっている。

だから人生の別れという去り際にそれを手放して、次生きていく人たちに渡していくことはとても理にかなっているし愛に溢れた行為だと思う。

 

執着のない人は冷たいのか。それともとびきり優しいのか。

コロナで揺れ動き続けた社会で、なんとなく答えが出たような気がする一曲。

まぁ、実際に自分が逝くときは出来る限り我儘言ってジタバタするんだろう(笑)

 

あとがき

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日本語を分かっていて良かったと思う瞬間の一つが、

歌の歌詞を無理なく理解できると改めて気づいたときだ。

 

もちろん、どの国の歌詞もその土地ならではの感性や視点にあふれているけど、

とくに日本の歌詞は「死」について語ることがとても自由だ。そう感じる。

 

死は悲しいことだけ、つらいことだけと定義はせず、逆に宗教のような有難さも持たせない。そんな日本特有の「透明な死生観」が昔から好きだった。

そこに何かの色を含んでいいのは残された遺族だけ。

近年では YOASOBI の『夜に駆ける』が大ヒットしたことも、メインシーンでさえ何となくここにつながっている気がして感慨深かった。

夜に駆ける

夜に駆ける

  • YOASOBI
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

私たちにとって「死」は、唯一人間に与えられた平等なものだ。

同時に「死」は自分で収められる範囲のなかで感じられるものであって、他人に無理矢理範囲を侵されてそれを感じることはできない。

だからこそ、現在の世界で起きていることには激しい悲しみを覚える。

 

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あまり大きな声では言えないけれど「借り物の人生」という言葉も私は好きだ。

自分の人生を自分だけのものだと執着しないことが、私にとってすごく心地いい生き方で、借りている間に最大限笑い、泣いて、怒って、ジタバタする。

で、時がきてスパっと返せたら楽なんだろうなって。

難しすぎるけど、すごく憧れる生き方なのだ。

 

でも、実際は執着&煩悩だらけで、自分がしたいことも他人にしてほしいと思うこともこの世の中には溢れている。

そんな賑やかさに疲れたとき私が思い出す音楽は、

 

知りたい気持ちに少しだけ責任を感じて、

色んな見方を試して、

たまには生きてくことの美しさを感じ、

それでも自分は自由で孤独なのだけど、

そこには循環したものもあると安堵させてくれる、

 

そんな曲たちなのでした。

 

▶そのほか歌詞をじっくり聴きたい曲についてはこちら

musiccloset.hatenablog.com

musiccloset.hatenablog.com

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▶新しい季節に“New”がつく音楽はこちら

musiccloset.hatenablog.com

 

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ここまでお読みいただきありがとうございました!

今後も色々な音楽を聞いてブログに書いていきたいと思いますので、お時間があるときにおつきあい頂けたら嬉しいです!

 

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