!閲覧注意!
ここでは人間の持つネガティブな感情と音楽の関係について書いています。閲覧は自己責任で。
当記事は2022年2月上旬に書き上げていたのですが、世界情勢などでタイミングを逃したため、現在改めての投稿となります。
この記事での「毒歌」は、ヒップホップのように世の中を変えたい純粋な「怒り」の歌ではありません。誰の心にもある、汚くドロドロした感情を意味します。
そんなブラックな内容見たくないわ!という方、ページをお閉じください。ほんとにすみません。
でも、だからこそ一度しっかり書いてみたかったんです。
実は私も毒歌聞いちゃいまーす…という方は、どうぞこっそりおつきあいください。
ちなみに読後感は良くしているつもりです!
注)当記事はいかなる社会的ヘイトや差別感情、暴力行為も決して認めるものではありません。
あくまで人間の喜怒哀楽の「怒り」に焦点をあて、個人的な感情の消化を音楽に反映させたらどうなるのか筆者個人の考えを書いていきます。
現実世界で悲しい行動を起こしてしまうより、表現の場で慰められ消化できる感情ならば、音楽がその気持ちの緩衝材になってほしいという願いから記事を作成しました。
私が毒歌を嫌いになれない理由
どんなにショッキングな歌詞や感情を暴走させるサウンドでも、毒歌に共鳴してしまう時は共鳴してしまうもの。
でも恨みや妬みなんて、無い方がいいに決まってる。
みんな仲良く、認め合えたら最高だよね?
心からそう思っているのに、なぜ心が靡いてしまうのか。
靡いてしまったら、それはいけないことなのか。
そんなことを筆者のお気に入りの毒歌を通じて考えます。
性格悪い?negaで生まれる歪な信頼
ネガ(negative )な感情というのは、本来恥ずかしいこと。
後ろ向きで時に汚い感情を、人は誰も他人には見られたくないものです。
けれど自分が好意をもっている人が、何らかの覚悟をもってその闇を打ち明けてくれたとき、人はそこまで嫌な気はしないものなのかもしれません。
この人にもこんな感情があるのか。
ということは、自分の汚い部分も理解してくれるかも……
そうやって、そこには深い信頼も生まれるかもしれません。
私がそれを強く感じた音楽が『グロテスク』でした。
あの子の 甘ったるい声を かわいいと 褒め讃えてみる
笑い方が 死ぬほど嫌い
ー略ー
果たして自分は 特別ですか
本当は 泣きたいんじゃないですか
恐いですねー(笑)でもこれ、私がとても共感してしまった歌詞。
誰かの笑い方を死ぬほど嫌いだなんて思ったことはないのに、その気持ちが分かってしまったんです。
なぜなら、きっといつかの私はこの感情の入口に立っていて、深く考えずにその場から立ち去った。
ちょっとモヤっとしたかも?と思う程度にして、自分がネガの化け物にならないよう自らをコントロールした気がするんです。
なのに、平井堅と安室奈美恵という音楽的に説得力のある存在がこの毒歌を歌っている事実。
それが、瞬間的にかつての気持ちをフラッシュバックさせてしまう。
だって『Hero』や『瞳を閉じて』を歌った二人がこれを歌ってるんだもん…
この二曲で感動した私だって大丈夫…悪い奴なんかじゃない、正常だよ…
そうやって素直にこの闇に共鳴してしまう気がするんです。
これってまさに歪で、なかなかに深い信頼と言えるのではないでしょうか。
圧倒的かつ揺るぎない哲学
人は「揺るがないもの」という現象に惹かれがちです。
確かに「ブレない姿勢」というのは健康的であれば、とてもかっこいい。
そして毒歌は、このパワーを実に効果的に使っている気がするのです。
過去にテイラー・スウィフトが発表した
『Look What You Made Me Do』からも、彼女のフラストレーションが生んだ強固な哲学を感じます。
長年“カントリーガールの良い子ちゃん”として、メディアから揶揄され攻撃されてきたことや他アーティストとの因縁を受け、
“闇落ちしたテイラー”をコンセプトに歌われます。
もちろんテイラーのレベルであればこれは一つの話題作りであって、半分は「ビジネス闇落ち」だと思います。
そういう事にとても卓越してるアーティストでもありますしね(褒めてる&筆者はテイラー好きです)。
ただ、火のないところに…のように、もう半分はその時のテイラーの「本気」から作られている曲なのも事実。半分ではあるけれど、その半分はまじで深く恨んでいたのだと思う。
何より彼女は“シンガーソングライター”ですからね…
I got a list of names, and yours is in red underlined
I check it once then check it twice
Maybe I got mine but you'll all get yours
ー略ー
I don't trust nobody and nobody trusts me
I'll be the actress starring in your bad dreams
『 Look What You Made Me Do 』- Taylor Swift 歌詞より引用 一部抜粋
リスト(たぶんデスノートのような物)には標的の名前があって、
その名前を一度確認して、さらにもう一度確認する。
自分は報いを受けたかもしれないけど、あなた達にもその日は必ずくる…
いや、こえーーー((((;゚Д゚))))
熱い怒りじゃなく底冷えの、もはや解凍できない怒りを感じますね…。
何より彼女の揺るぎない恨みの哲学を感じたのが、
私は誰も信じないし誰も私を信じない という歌詞。
自分を肯定してもらえなくてもいいという、目的のために冷静でありながら自暴自棄になっていることが伺えます。
理性ある怒りというのは、そう簡単には揺らぎません。
この強固な哲学に揺らぐことのない圧倒的なものを感じ、人はそこに憧れに似た感情を抱いてしまうのかもしれません。
さらにこの歌詞パートでは、過去の自分を自ら蔑む演出に手を染め自身の本気を示しています。
ホントに私だけ?…逃げられない最恐最悪の問い
毒歌を否定できない、もしくは惹かれてしまう最大の理由はこれだと思ってます。
「毒があるのって私だけ?……あなたもだよね?」
そうです。
事実だからこそ逃げられない、恐怖とも言える同調圧力が毒歌には潜んでいる気がする。
これがヒップホップなどで歌われるFワードや攻撃的な歌詞とは一線を画する、毒歌に巣食う「怒り」の特徴だと思います。
しかもこれ真面目に物事を考えて、ちゃんと後ろめたさを感じる人ほど刺さってくる質問だから余計にたちが悪い。
昨年から再生回数を伸ばすロスさんの『自主』も、その恐怖をまざまざと炙り出す怪作です。
!視聴注意!ショッキングな歌詞および表現があります。
『だってみんなあの子嫌いでしょ?』
いやいや…いやいやいやいや………
だからって、そこまでは…ねぇ………?
そんなモブの心情まで聞こえてきそうなリアルな情景描写です。
確かに同じ感情をもっているかもしれないけど、自分たちはそれを呼び起こしていないし、その気持ちをわざわざ拡大しようともしていないのに。
でも、毒歌はそんなことは問題にしません。
「毒、あるんだよね?」
この一点のみを、私たちに問いかけ語りかけます。じゃあ一緒じゃん、と。
この問いに冷静に対処できるか、それとも「そうかもしれない…」とその暗示にかかり毒歌の魅力に飲み込まれてしまうのか。
簡単にこの魅了から離れられない私には、まるで毒歌自身が己を試しに来ている気さえしてしまうのです。
毒歌に出来ること、そして出来ないこと
世界で日本で、悲しいことが絶えない今。
誰だって精一杯だから、自分の声が届かなかったり無視されたら、時に簡単に誰かを恨んだり嫌いになったりするのかもしれない。
私だってそう。
自分がいつどんな感情に襲われるのかは誰にも分からない。
でも、そんな時に本を読んだり映画を見たり、今回のように思い切りダークな音楽を聴いたりして、まずはその感情を自分自身が受け止めたいな、と。
それこそ改めて分かった三つの魅力から分かるように、毒歌には他の音楽や言葉には出せない一つの答えがある。
嫌いでいいし、恨んだっていいということ。
でも、
どうか、
暴走する気持ちは、行動には起こさず
その音楽に深く刻み付けることで
自分を納得させたい。
そして、その場から立ち去ってしまいたい。
自分のために。
自分を信じてくれる人のために。
それに、どうせ自分の全てを賭けて力を振り絞るなら、誰かを攻撃する言葉より、自身の声を言葉にして叫ぶ方がいい。
その方がずっと遠く、多くの人へ、その声は届くものだと信じています。というかそう相手が判断できる状態のときに、その声を聞きとれる人間になりたいなと思う。
▼綺麗事かもしれないけど、実際にこの曲の威力&伝播力が凄まじかったことは毒歌の魅力に対抗する一つの証明になるかも。
この音楽を聴いてふと思ったのだけど、ほとんどの毒は小さな Speechless がこじれて始まってしまうような気がする…。
毒歌からもらう必要悪の力と、その先にある信じたい勇気。
この二つを見間違えないように生きていかなければね。
これが、毒歌と正面から向き合って私が出した答えのようなものなのでした。
▶心がささくれだっている時に味方になるかもしれない曲はこちら。まずは自分を大切にしような!
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ここまでお読みいただきありがとうございました!
今後も色々な音楽を聞いてブログに書いていきたいと思いますので、お時間があるときにおつきあい頂けたら嬉しいです!
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