2021年にシリーズ25周年を迎えた人気ゲームシリーズ、バイオハザード。
今回は歴代バイオハザードを見て「これは…!」と思った印象的な音楽を独断と偏見でまとめていこうと思います。
ゲームの世界観を支えるべく作り上げられた音楽を聞いて頂くことで、一般的なバイオの“近寄りがたい”イメージが少しでも払拭されればいいなと思います。
改めてバイオハザードとは
バイオハザードとは1996年にカプコンから発売されたテレビゲームの一つ。ジャンルはサバイバルホラー。
これまでに正史のナンバリング作品として0~8(場合によっては9)がリリースされており、外伝や別シリーズを含めると多くのタイトルがあります。
世界観は架空の現実世界(アメリカや中国、ロシアなどの国名が出る)を舞台にし、ウィルス漏洩の鎮圧や、B.O.W.(Bio Organic Weapon)と呼ばれる生体兵器との戦いを主軸としています。
ゾンビではないキモ系の敵はB.O.W.であることが多く、それらは真の敵組織である製薬会社を中心に実験・制作された「戦争商品」というのが大きなキモ。
主人公及びプレイヤーはクリーチャーやゾンビと戦うわけですが、結局敵は同じ人間のお偉いさんという、組織の闇をテーマにしているのも何とも現実味のあるストーリーになっています。
流血描写などのグロテスクシーンも多く、常にR指定ゲームです(この印象が強いですよね💦)。
主人公は各作品で変わり、ほとんどの作品でAIまたはオンラインで“パートナーキャラ”と組むことになります。
共同作業でストーリーを進めていくことが多く、そこで生まれる絆や信頼感、互いへの共鳴などもバイオシリーズの魅力です。
バイオの魅力(私が好きになった理由)
ストーリーが意外としっかりしている
大変失礼な話ですが、バイオにハマる前はこんなにストーリーや設定がしっかりしているゲームだとは思っていませんでした。何か理由をつけてバイオハザードが起きてそれを鎮圧する繰り返しでしょ…ぐらいの認識だった。
いやそれも間違ってないし後付けや未回収伏線も酷いんだけど(笑)、ゲーム内でのストーリー進行やキャラクター一人一人の行動はちゃんと説得力あるんですよね。
とくに『6』『8』は見るゲームとしても申し分ない最高のシナリオでした。
▼10年前なのに「ハリウッド映画?」と言いたくなるバイオ6の神トレイラー。曲もすごく良い。
キャラクターが魅力的
バイオは作品ごとに主人公やパートナーが変わり、一部のキャラを除いてキャラの「使い捨て」が常態化しています(泣)。
けれど逆を言えば毎回素晴らしいキャラ(味方も敵も)を生み出してくるということでもあり、それは本当にすごい事です。
各キャラクターは私たちと同じ時間を生き年を重ねていくので、それぞれの成長が分かるのもおもしろさの一つ。ただし、この設定のせいでせっかくの人気キャラクターの高齢化問題を避けて通れない心配もあります(世代交代して!)
例)1998年初登場で新米警察官だった主人公レオン(左)も…
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2012年のバイオ6では髭を生やしたイケオジに。
売上の8割が海外
意外かもしれませんが、バイオハザード(海外名:Resident Evil)の売上の8割は海外。
日本製サバイバルホラーが海外で支持されているというのは純粋に誇らしいですし、なるほどシナリオや演技などは至るところで海外を意識した演出が採用されています。海外かぶれだった私にとって、すでにこの点でハマる要素はあったみたい。
▼久しぶりの新作『Resident Evil 7』(当時2017年)のアナウンストレイラーに沸き立つ会場の海外ファン。
バイオの印象が変わるオススメ曲
さて、ここからバイオの音楽をご紹介していくわけですが、今回はあえてバイオっぽくない曲を中心にまとめてみました。
バイオと聞くとおどろおどろしいイメージや銃撃戦が頭に浮かぶと思いますが(私はそうでした)、少し異なる要素もあることをこちらの音楽から感じとっていただければ嬉しいです。
バイオ6 The Mercenaries テーマ
2012年発売『バイオハザード6』の追加ミニゲーム【マーセナリーズ】テーマ曲(1~2分でリピートになります)。
タイムアタックで敵をバッタバッタと倒していくゲームなので、バイオではめずらしい小気味いいEDMサウンドに仕上がっています。
このマーセナリーズは『6』本編のゲーム性より支持を得ているぐらいの人気コンテンツなので、多くの人の耳に慣れ親しんでいるというのも人気の一因と言えそう。
Result (Jake)OST
私をバイオに沼らせた『バイオ6』のジェイク編。そのリザルトBGMです(チャプターごとのランクやスコア、死亡数などを表すあれ)。
これまでリザルトやシナリオ選択の音楽なんて気にしたこともなかったけど、これが普通にかっこよかった。
スパニッシュギター(かな?)の哀愁と粗いのだけど沈み込むベースラインがジェイクって感じで、ちゃんとした一曲として続きが聞きたいぐらい。
At The End Of Long Escape
“バイオってキャラのイメージソング(しかも歌付)OKなの!?”
と驚愕した一曲。同じくバイオ6ジェイク編のエンディングテーマです。
面識はなくとも悪の親を持ち、過酷な環境のなか金にしか執着のなかったジェイクですが、劇中では同じく悪の親をもちジェイク以上に悲惨な環境で育ちながらしっかりと信念をもって生きるパートナーのシェリーと出会います。
彼女と供に死線を潜り抜けることで、物語終盤にはジェイクは前向きに自分の人生と向き合えるようになるわけですが、この曲はそんな彼女へ感謝の気持ちを歌った曲です。
You saved me, oh so won't you let me save you?
繰り返されるこの歌詞も甘酸っぱい(本当にバイオ?)。
親から強制的に十字架を背負わされた二人の過去も相まって、ただの恋愛ソング以上に切なさが響くところも上手く作ってあるなと。
『長い逃走の果てに』というタイトルも、ゲーム内の【敵からの逃走】とジェイクの【人生から逃避していた過去】をかけていて印象的でした。
ちなみにジェイクはシェリーより全然強く(むしろバイオ界でもトップクラス)、この「守ってくれた・救ってくれた」は精神的に、また捻くれた自分を最後まで信じてくれたことを表します。
Ada’s Smile(OST)
シリーズ通して絶大な人気を誇るアジアン・クールビューティ―なスパイ、エイダ。
バイオテロを支持しているのか違うのか何とも言えない描写も多く、裏での暗躍が多いためハッキリ味方とは言えないキャラクターでした。
けれど『6』のエイダ編ラストで初めて(約20年のシリーズを通して本当に初めて!)、彼女の感情が唯一剥き出しになった描写があります。音楽は1:30~2:55。
敵が死に最後にその研究成果を破壊しようと単身研究施設に乗り込むエイダですが、そこで見た真実に怒りと蔑みの表情を見せ、これでもかと部屋一帯に置いてある全ての研究物へ銃を乱射していきます。
スローモーションで映るこの射撃シーンはとにかくかっこよく、それに呼応するようなピアノの旋律もとても印象的でした。
エイダの秘めた激情を演出したこの曲の存在は大きく、ドラマ性を重視した『6』の最後を締めくくるに素晴らしい楽曲だと思っています。
Sleep My Love
2010年発売『バイオハザード ダークサイドクロニクルズ』よりマヌエラの子守歌。
今作の主人公レオンは、ある任務で森の奥地に住む少女マヌエラと出会います。この曲はそのときにマヌエラ自身が歌っていた曲です。
今作はエンディングがグッドとバッドで分岐しているのですが、とくにバッドエンディングは非常に感動的なシナリオになっています。
透きとおる美しい歌声から、留まることを知らない悲しみや儚さを感じるこの曲。一度聞くとしばらく頭から離れません。
SAUDADE
2019年発売『バイオハザードRE:2』のエンディングテーマ。バイオハザードによって壊滅した街を生き延びた主人公たち三人が帰途に着くシーンです。
※曲の前にエピローグが入ります。音楽は1:20~ですがその前のやりとりもかっこいい。こちらの動画はファンメイドで左が1998年のオリジナル、右が2019年のリメイク版です。
ハードロック調でゴリゴリにかっこいい大好きな曲です!
まだ若い主人公タッグ、レオン&クレアの青臭くも正義感で敵に向かっていく熱さがよく表現されている曲。
レオンは気品はあるけど死神級の実力だし、クレアは感情昂ると暴言も吐く威勢の良い姐御だから、この不敵な曲の雰囲気がめちゃくちゃ合う。
ちなみに劇中の少女は子供時代のシェリーです。前述した『6』で何と16年ぶりの時を経て成長した姿で再登場しました。
バイオRE:3 エンディングテーマ
2020年3月に発売された『バイオハザードRE:3(『3』のリメイク作品)』エンディングテーマです。
オリジナルで仕様された曲をアレンジし壮大なロックバラードに仕上げています。
オリジナルの発売は1999年と古いのでフレーズの古臭さは拭えないのですが、それを含めてバイオらしい一曲。
今作の主人公ジルは、初代から主役をはるバイオの顔の一人。
自らの戦いを終え、命からがらゾンビで溢れかえった街の滅菌作戦(人もゾンビも建物も全て爆弾で破壊する)をヘリから見届けたジル。救えなかった命への悔恨と打倒アンブレラ(敵組織)への決意を静かにけれど強く感じさせる曲です。
終盤で強く鳴り響くツインギターは欠くことの出来ない相棒の存在を、最後の最後で響くピアノの旋律は彼女本来の毅然とした美しさを表現しているような気がしました。
まとめ
ゲーム音楽は、純粋に演技や脚本に集中できるドラマや映画とは違い、【音楽】もストーリー進行・主題の提示・心情描写・繊細な演出などを担う多彩な要素があります。
なぜならそれがゲームである以上、あくまで主体はゲーミング。プレイモードに多くの手間とボリュームを割く必要があり、その分、音楽などの別要素でストーリー構成の補填を担わなければならないからです。
それはバイオハザードも例外でなく、作品ごとにプレイヤーの感性を刺激し続ける名曲が多くあります。
これらの音楽を聞いて分かるのは「バイオにはストーリーの緩急があり、とにかく熱い」ということでした。
軍人・警察官・エージェント・一般人・子供、さらに言うとウィルスを作った者、被害者として感染した者、自ら感染した者も含め、バイオテロに対峙した以上、それぞれの信念を貫いてキャラクターたちは戦います。
そこにはサバイバルホラー(ゲーム性)とキャラ描写(ドラマ性)が混在していて(各タイトルによってそのバランスの違いはありますが)その橋渡しを上手くやってのけている一つがバイオの音楽なのではないかなと思うのです。
私自身バイオにハマるなんて考えてもみなかった人生ですが、改めて音楽に注目してみるとやはりそこにハマった要素を見出せる気がしました。
独断と偏見の選曲でしたが、これらの音楽から一味違ったバイオの魅力を感じて頂けたら嬉しいです。
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ここまでお読みいただきありがとうございました!
今後も色々な音楽を聞いてブログに書いていきたいと思いますので、お時間があるときにおつきあい頂けたら嬉しいです!
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