最近アナログレコードの売上げが世界各国で伸びているようです。
コロナ前から復刻版が話題になったり欧米では専用の録音スタジオが作られたりと、一部のニッチな音楽ファンの間では確かにその熱さをみせていましたが、
パンデミックのなか家での滞在時間が多くなったことから「ゆっくりと上質な音を聞きたい」「音響設備を整えたい」との声を受け、じわじわとニーズが高まっているとのこと。
今回は芸術の秋もかねて、2000年代以降という近年縛りのなか、お気に入りのアルバムジャケットを選んでみたいと思います。
基準orルール
膨大な枚数がありますので、2000年代以降というほかにも縛りを加えてみました。
今回の基準は以下の5点です。
- 曲もアーティストもしっかり好き
- アルバムとの親和性
- 思い出補正(何度リピートしたかなど)をかけない
- 一定以上メジャーなアルバム
- なるべく多くのジャンルから
うーん、それでも絞れない。とりあえず選んでみましょう!
独断で選ぶ好きなアルバムジャケット
■BORN TO DIE-LANA DEL REY
個人的にレディ・ガガやビリー・アイリッシュより衝撃的なデビューだったのが、このラナ・デル・レイ。
2008年にリリースされたこちらのアルバムは、鬱のパワーというか、この人の持つ善悪では判断できない無垢な絶望のようなものがあらわれています。
デビューアルバムにして虚ろで何か深淵を見つめるようなこの表情。
画面が粗い中、不気味にハッキリと貼られたフォントのアンバランスさも好き。
デビューしてからずっと音楽スタイルが変わらないのも今の時代ではめずらしく、逆にラナの強みになっていると思います。
■EYES OPEN-SNOW PATROL
すごくありきたりなジャケットに見えるのですが、何とも印象深くてずっと記憶に残っていました。
無機質(に見えるもの)が温もりを求めるように絡んだり触れ合ったりする姿に、なぜか昔から惹かれます。
ジャケットを見た後に聞くと、アルバム内容の評価も高くなったという不思議な体験も。
スノウ・パトロールは1994年にデビューしたグラスゴー出身のオルタナバンド。
デビューから長い間思うような成功には至りませんでしたが、2006年発売のこのアルバムは全英チャート1位を記録。『Chasing Cars』などの大ヒットも生まれました。
一番好きな曲はあまり日の目を見なかった『Make This Go On Forever』。
■The Flying Club Cup-Beirut
ベイルートはアメリカ、サンタフェ出身のワールドミュージックバンド。
バルカンミュージックを押し出したファーストアルバムを経て、このアルバムではフランスのシャンソンにコンセプトをあてています。
聞いていると、まるで1920年代のフランスにタイムスリップしたかのようなノスタルジーを味わえて気分がいい。
このジャケットの印象が強くて、ワールドミュージックというよりフォークバンドの印象が強いんだよなぁ。
構図しかり余白しかり、そして女性の視線しかり。世が世なら名ジャケットになっていたと思う。
■あの歌2-上白石萌音
2021年6月発売という直近のアルバムですが、なぜか魅かれたので選びました。
『あの歌1』『あの歌2』がありますが、個人的に収録曲は1、ジャケットは2が好き。
イラスト・デザイン重視のジャケット大流行中の日本では久しぶりに見た構図。一目見て昭和のカバーアルバムだとわかるのもいい。
個人的にイラスト主体のジャケットより、アーティストのポートレートのようなものか、あるいはアーティスト視点から見た景色を切り取ったジャケットだと、メッセージが濃縮しているように感じられて好きです。
上白石萌音さん、しっかりと「我のある」アーティスト性をお持ちなので、今後も独自性の強い音楽をどんどん出してほしいと思います。
そしてこのガンダーラよ。ほんとに表現センスの塊のような人だ。
■METEORA-LINKIN PARK
1996年LA出身のオルタナバンド。
この人たちの成功があったから、ロックミュージックは打ち込みやサンプリングに対する偏見の呪縛から逃れることができたのだと思います。
『メテオラ』は2003年にリリースされたセカンドアルバム。ギリシャの世界遺産メテオラ修道院からインスパイアを受けて制作されました。
名実ともに商業的にも社会的にも大きな影響力をもったバンドとなりましたが、2017年ボーカルのチェスターが自殺により自宅で亡くなり、バンド活動に終止符が打たれました。
▼チェスターを見送る追悼ライブ
代表曲『Numb』(0:12:04~)で空席となったマイクスタンドに光があたるなか、どこからか聞こえてくる観客の声、声、声…。
ゲストアーティストも素晴らしいパフォーマンスをしてくれたけど、やっぱりリンキンの曲はチェスター、そしてファンの声が一番しっくりくるんだよね。この曲をファン以外に歌わせない選択をしたメンバーや運営はまじですごい。
ジャケットの彼はメンバーのマイク・シノダ。筆者は最近になって知りました。
数あるリンキンのなかでも最も好きな曲『Easier To Run』が収録されていることもあり、尚更思い入れの強いアルバムです。
歌詞とは裏腹に「何とかここで踏ん張りたい」という自分との闘い、そしてジレンマも感じられて、ある意味とても気持ちを奮い立たせてくれる曲です。
いつだって戦わなきゃいけない相手は言い訳している自分と、それが言い訳でしかないと思いこんでる自分。
それをもっと「みんなで」考えていきたかったよチェスター。
■ELWAN-TINARIWEN
アフリカマリ共和国出身のデザート(砂漠)ブルースバンド、ティナリウェン。
2017年にリリースされた7枚目のアルバム『エルワン』は、英語でいう “elephants” 。彼らのバンド名ティナリウェンは『何もない空間=砂漠』をあらわしています。
2018年グラミー賞では、このアルバムで最優秀ワールド・ミュージック・アルバム賞を受賞。
合成かと見間違えるような砂山の稜線をメンバーが隊列を成して進むという、視覚的な美しさのあるジャケットです。奥の稜線は歪んでるからおそらく合成じゃないと思うけど…
過酷な紛争から逃れヨーロッパで火がついた彼らの骨太なブルーススケール。
一見このジャケットの直線的な美しさとかけ離れているようですが、「自由を求める美」というものの親和性は確かに両者から感じとれる気がします。
なんでターバン・ヒジャブとギター・シタールの組み合わせはこんなにかっこいいのだろう…秘匿性の効果?
■ 1989-Taylor Swift
2014年にリリースされたテイラー・スウィフトの何度目か分からない出世作。スタジオアルバムとしては5枚目。
ビルボード200ではマライア・キャリーの通算30週首位獲得を更新して、最終的に35週首位獲得の記録を更新したモンスターアルバムとなりました。
代表曲はおなじみ『Shake It Off』『Bad Blood』『Blank Space』など(これ一枚でどんだけシングルヒット出したのか)。
個人的にテイラーは薄紫がものすごく似合うと思っていて、ことのほかこのジャケットは印象に残っていました。
そのせいか(別アルバムだけど)曲も『Begin Again』が一番好きだったり。
今でもクリスマスくだりの歌詞は天才かよ…ってなる。大胆なメッセージより、こういう何気ない気持ちの移り変わりをしっかり捉えられる才能の方が大きい人だと思う。
前作『RED』に続き、顔の半分が隠れているジャケットというのもおもしろい。
ほかは全身だったり顔全体を映しているものが多いなか、この二作は多くの人の記憶に残ったジャケットだと思います。
▼こちらのサイトでも『1989』はランクインされていました。
感想
▲全年代のアルバムのなかで一番好きなジャケットは、やっぱりブルース・スプリングスティーンの『Born To Run』(1975)
今回お気に入りのジャケットを選んでみて、改めて自分の趣味嗜好だったり音楽に求めるものが視覚化されたような気がします。
見た目がシンプル、統一されたスタイル、どこかしらオールドスタイルな色味のものが好きらしい(笑)
それからそのアルバムをふれた時だけに感じる、マクロなメッセージ性をもつジャケットにも惹かれるみたいですね。特別感というか。
皆さんはどんなジャケットが印象に残っていたり、特別な思い出がありますか?
今はYouTubeで音楽を済ませてしまうこともでき、どうしてもサムネの印象にイメージが引っ張られるということもありますが、
せっかくカバーディレクターが作品として作ってくれている物でもあるので、たまにはじっくりジャケットを見ながら音楽を聞くのもいいものですよね。
▶そのほかのおすすめ音楽テーマの記事についてはこちら
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ここまでお読みいただきありがとうございました!
今後も色々な音楽を聞いてブログに書いていきたいと思いますので、お時間があるときにおつきあい頂けたら嬉しいです!
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