2021年5月オランダのロッテルダムにて、ヨーロッパにおける年に一度の音楽コンテストユーロビジョン2021が開催されました。
昨年は新型コロナウィルスの影響により開催が中止となってしまい、2年ぶりのこの舞台を待ち望んでいた方も多かったと思います。
今回は例年以上の盛り上がりを見せたユーロビジョン2021について、個人的なまとめと所感を書いていきたいと思います。
▼Grand Final における Flag Parade の様子
ユーロビジョンとは
ユーロビジョン2021について
ユーロビジョン(Eurovision Song Contest)とは欧州放送連合(EBU)に加盟する放送局によって開催される音楽コンテスト。
1956年に戦後復興、加盟国によるエンターテイメント制作という形で、国際的な歌唱コンテストとして始まりました。
毎年5月の土曜日に開催され、開催国は持ち回り(前年優勝者の国)。
2020年は新型コロナウィルスの影響のため史上初の開催中止に。
2021年の開催は、2019年優勝者 Duncan Raurence(オランダ代表)により、規定通りオランダのロッテルダム「アホイ・ロッテルダム」にて開催されました。
参加国は39か国。視聴者数はおよそ1億8300万人。
参加国について
参加国は代表アーティスト(個人でもグループでも可)を1組選出し、組み分けされたセミファイナルを競います。
そこで勝ち残った国+Big5(大会資金拠出国:イギリス、フランス、ドイツ、スペイン、イタリア)の5か国を合わせた国がグランドファイナルにてパフォーマンスを行います。
Big5は実質毎年のシード権を得た状態となります。
得点方法
得点は各国の審査員と視聴者の50:50の合計得点で競われます。
うち、審査員投票については基本的にボルダ方式の得点システムで、各国は1~8点と10点・12点を他国の曲に使うことができます。
12点獲得合戦の一面もありつつ、平たく好感をもたれたアーティストが高得点となるシステムですね。
審査員得点のあとに視聴者投票の総計が各国ごとに発表され、その合計点が競われます。
2021年におけるルール変更
基本的にすべての歌唱は生歌が義務付けられていますが、2021年は感染症対策によりバックコーラスには録音が認められたことも例年と大きく変わったシステムでした。
Open Up
今年のスローガンは2020年に引き続き“Open Up(開く、心を開く、咲く)”。
2019年以上に響くスローガンで、私は気に入っています。花を愛でるオランダにもかけているのでオシャレな響きもありますね。
Eurovision のロゴマークデザインや舞台の照明には、各国の国旗カラーが反映され、国際的な文化交流の一面も随所に見られます。
有名な優勝者
過去の出場者で世界的なアーティストには、1974年のABBA、1988年のセリーヌ・ディオンなど。
代表/優勝アーティストの認知度や商業的成功は、たびたびユーロヴィジョンとの結果と比例しないこともあります。シビアなものですよね。
2021年のトップ3
優勝:Maneskin-Zitti E Buoni(イタリア)
冒頭に優勝スピーチがあります。音楽は2:00~ですが、なかなか感慨深い一言を放っていたのでそのまま貼ってあります。
マネスキンは2017年イタリア版Xファクターにて準優勝したグラムロックバンド。
ローマにて高校の同級生で結成。
バンド名はスイス語における「月光」を意味します。ベーシストのヴィクトリア(めちゃくちゃかわいい!)のルーツだそうです。
この曲でサンレモ音楽祭2021で優勝し、ユーロヴィジョンイタリア代表となりました。
各国の審査得点では上位圏内をキープしていましたが、その後の視聴者投票が300点超えとなり1位に。ドラマチックなエンディングとなりました(そのときもヴィクトリアが案外しっかりしてたのが印象的だった)。
ロックバンドの優勝は2006年ぶりというのだから驚き。エンディングもガンガンで痺れます。
準優勝:Barbara Pravi-Voila(フランス)
バルバラ・プラビはパリ出身のシンガーソングライター。
ソングライターとして国内アーティストにも数多く楽曲を提供している実力者です。
目まぐるしく展開される今回の曲でも、まるで一人芝居のようにドラマチックで悲哀の滲む素晴らしいパフォーマンスが見られます。
各国の審査得点ではスイスとフランスが12点獲得合戦で群を抜いていました。
惜しくも優勝は逃しましたが、それでもフランスは1991年以来の好成績で2位に。
3位:Gjon's Tears -Tout l'Univers(スイス)
ジョン・ティアースはスイスとアルバニアをルーツにもつシンガー。
昨年もスイス代表で選出されていましたが開催の中止を受け、曲を変更し今大会に臨みました。
スイスは2019年もルカ・ハンニの4位という好成績を残しており、近年強豪国になりつつあります。
2020-2021で出場アーティストを変更するかどうかは国によって異なります。
2020年において優勝候補だったロシアの Little Big は連続出場とならず、同じく優勝候補だったアイスランド代表は今年メンバーの一人が新型コロナ陽性となり、ステージ出演禁止となってしまいました。どう転ぶか分からないものですね…
心痺れたパフォーマンス
二年ぶりの開催ということもあり、例年だったらもっと上位に行ったのではと思うような熱いパフォーマンスも数多くあった大会でした。
その一部を筆者の独断で紹介していきたいと思います。
Hurricane-Loco Loco(セルビア)
セルビア代表。15位。
2017年にセルビアで結成されたガールズグループハリケーン。全員が美女of美女です。
曲は正統派のバルカンポップですが、一連の停滞感を吹き飛ばす気概のあるパフォーマンスでした。このセミファイナル動画が再生回数1100万を超えているのも納得です。
会場の盛り上がりを考えると、もう少し上位にくいこんでも良かったかな。
アコースティックバージョンも 。おそらくこれから売れるだろうなぁ。
Jendrik-I Don't Feel Hate(ドイツ)
ドイツ代表。25位。
何気にわたしは一番応援してました。でもこの手の曲は優勝しにくい(泣)にも関わらず復帰でこれをぶつけてくるドイツが私は好きなんです。
何より2020~2021年の精神衛生上、一役買った良曲だと思います。
音響はもっと頑張ってほしかった!オリジナルは展開でもっとベース効かせてかっこよさもあったし。
ミュージカル俳優でもあるイェンドリック(パフォーマンスのいたるところから滲み出てる)。ここまで踊りまくって音ブレしないの、すごい歌唱力の持ち主だし曲も作れるしイケメンだし今後も注目です。
Black Mamba-Love Is On My Side (ポルトガル)
ポルトガル代表。12位。
ブラック・マンバのこの曲が、楽曲として今大会で一番満足感がありました。
ほとんどが、お祭り!復帰!セレブレイト!という熱気のなか、イケイケでもスタイリッシュでも民族に特化した曲でもなく、シンプルにクラシックロックで勝負した姿勢は逆に胸アツでした。
むしろ音楽と歴史が紡ぐ悲哀について、この曲が最も核心をついていたので、2021年に聞くにふさわしい曲だったと思います。
あとがき
日本では(実はアメリカでも)あまり馴染みのある舞台とは言えないユーロヴィジョン。
けれど筆者にとっては、ここから様々なヨーロッパ音楽を聞くようになった経緯もありとても思いの強い大会です。
とくに今年はパンデミックで世界の足並みが思うように揃わないなか、この時期にヨーロッパ各国の代表を招くことができた実績も含め、大会開催への情熱も多くの視聴者に響いたと思います。
アーティストたちのパフォーマンスも例年以上に熱があり(どうしてもそう感じてしまう)、
彼らが見せたパフォーマンス後の晴れやかな表情には何度も心動かされました。
あえてシビアな面を言うとすれば、これだけ規模が大きい舞台なので、過去には何度も政治に翻弄された大会でもあり、
時には「?」と思うような采配がなされた出場者も実際に存在します。
それでも、50年以上音楽を通して連帯を示し続けてきた開催姿勢には改めて敬意を示したいし、今後も楽しんで見続けていきたいと思う有意義な大会であることにも変わりはありません。
YouTubeではファイナル全編版もあがっているので(というか、ユーロビジョンにまつわるとんでもない数の動画があがってます)、
興味がある方はぜひユーロビジョンの熱を体感してみてはいかがでしょうか。
▼過去のユーロヴィジョン関係アーティストについてはこちら
Thank You For Reading.