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声フェチ女による 世界の音楽を紹介するブログ

The Lemon Twigs ザ・レモン・ツィッグス ○○に似ているのに聞き続けられるのはどうして?

 

Songs For The General Public [解説・歌詞対訳 /ボーナストラック収録 / 国内盤] (4AD0229CDJP)

 

「この曲、あのバンドに似てるのに聞いちゃうんだよね~」

 

そんな経験ないですか?

私もこれまで何度となくそう思いながら、好きなバンドや音楽を増やしてきました。

 

音楽好きの方なら共感していただけると思いますが、この言葉は必ずしも「似ているからおもしろくない」とか「(過去のバンドと比較して)小粒に見える」といった否定的なニュアンスを含んでいるわけではありません

むしろ似ているのに最後まで聞いてしまうのは、漫才で言えば展開やオチがすでに分かっているのに同じところで何度も笑ってしまうような、理屈では説明できない中毒性をもっていると言えます。

そしてその音楽には、ただの過去の焼き増しとは異なる、音楽的スキルや強化された感性など、リスナーが想像する以上にプレイヤーとしてのタフさを感じるものです。

 

今回は、近頃それを強烈に感じたバンド The Lemon Twigs レモン・ツィッグス についてご紹介したいと思います。

 

 The Lemon Twigs - The One (Official Video)


さっそくどこかで聞いたことありませんか…

 

 

メンバーと略歴

 

The Lemon Twigs レモン・ツィッグス はアメリカのポップロックバンド。ニューヨーク州ロングアイランド出身です。

2015年にイギリスの大手レーベルからデビューし、これまでに3枚のアルバムをリリースしています。

 

メンバーは

  • ブライアン・ダダリオ Brian D’Addario…ギター、キーボード、ボーカル他
  • マイケル・ダダリオ Michael D’Addario…ギター、キーボード、ボーカル他
  • ダニー・アヤラ Danny Ayala…キーボード
  • ミーガン・ツィエンコフスキー Megan Zeankowski…ベース

 

主にダダリオ兄弟を主軸としたバンドで、この二人はマルチプレイヤーとして多才な楽器をプレイすることができます(ドラムも自分たちでこなします)。

また曲自体のプロデュースも熟練の域で、様々な音を計算し尽されたなかで起承転結に結ぶという、ミラクルにまとまったサウンドで聞かせます。

 

おすすめ曲 

 

先ほどはポップロックと紹介しましたが、さらに言えば彼らの音楽はバロック・ポップに分類されます。

クラシカルな要素をロックに融合させたサウンドは、まるで60~70年代の往年のロック専用ジュークボックスのようです。

ここからはそんな気軽に聞けるようで、何だかそうでもない彼らの音楽についてご紹介していきます。

 

The Lemon Twigs - Moon (Official Audio)



サードアルバム『Songs for the General Public』収録。 

 

うん。やっぱりどっかで聞いたことあるな。

っていうかデヴィッド・ボウイ+ビリー・ジョエル+ELO…かな…(ボソッ)

 …と自分で疑問が解けてしまうほど、見事に過去の有名エッセンスのいいとこどり。ここまでしっかり表明されると逆に清々しい!

ただボウイに似ているから、ビリー・ジョエルを彷彿させるからといって、彼らの音楽的才能が否定されることはありません。

だって似ているってわかったのに不快感がまったくないんだもん。

むしろよくあの世界観やコード展開をここまで自然に、そして楽しく再現できるな~と感動してしまう。

そもそも過去の奇人アーティスト(褒めてます)の音楽を少しでもなぞることができるってこと自体がめちゃくちゃ賢い。

 

そう

彼らは音楽的にクレバーであり、かつ表現者として潔いのです。 

 

音楽的聡明さや器用さからみると、前述したミュージシャンよりもキンクスのデイヴィス兄弟っぽいかな、と私は思ったりしています(兄弟だし)。

 

The Lemon Twigs - These Words


ファーストアルバム『Do Hollywood 』収録。

Do Hollywood

Do Hollywood

 

この曲だけ聞けばこういうベクトルでいきたいんだな~と思えるのですが、そういうわけでもなく、数多の音楽エッセンスが引出しにあるのが彼らの凄いところ。

ビートルズ、クイーン、ビーチ・ボーイズエルトン・ジョンの譜面を一度に渡され、初見ですべてにアドリブを加えて縦横無尽にプレイしているような、そんなありえない光景が目に浮かびます。

 

彼らのなかでも比較的にサビの聞かせ方を狙っている曲で、このジャンルが苦手な人でもとっつきやすいかなと思います。間奏部分はもう、すごいの一言。

PVの設定も「奇人と天才紙一重」の様子がうまく表現されていて好きです。

個人的見解。音楽界に変人多しとはいうけれど、真の奇人はポップスを極めた人だと思うんだよ……。 

 

The Lemon Twigs perform Small Victories on Later... with Jools Holland 

 

激しく変わる曲展開が心地いい1曲。セカンドアルバム『Go To School』収録。

Go to School

Go to School

 

メランコリックなサウンドをキープしたままカントリーやロックンロール、AORなどのフレーズを重ねていきます。

予想できないわりに、次の展開でしっかりリスナーをのせる手腕もお見事(あまりに音楽を理解し操っている感じがして、私はちょっぴり恐怖に近いものを感じましたが…)

アレンジやソロパートもしっかりと作りこまれていて、何度聞いてもその度に発見があって飽きがきません。

 

今回はキャッチーな曲を選んでみましたが、予想通り難解な曲もプレイしていますので、彼らのさらなる深淵を覗いてみたい方は是非チェックしてみてくださいませ。

 

まとめ:ゼロをイチにするか、イチを∞にするか

 

往年のアーティストが素晴らしいと誰もが理解しているのは、何より「ゼロをイチ」にしたことが明確だからです。

発明と同じで、やっぱり無かったものを創造するってことに価値がありますから、同じ舞台で後進勢がそれに太刀打ちできるかっていうのは、正直なかなか難しいことだと思います(生まれた時期とか、世に出たタイミングとかそういう不可抗力な要素もあるし)。

 

けれど、どんな音楽でも一番大切なのは「いい感じだな」とリスナーに思わせ最後まで曲を聞かせきってしまうこと

 

過去書いたように、ほとんどの場合リスナーは音楽を楽しみたいわけですから。 

 

そう考えると、先人たちの土台に立って(もちろんリスペクトありきで)自由に自己表現するタフさも、それは立派な音楽サイクルの一環なんだな、と思うわけです。

まぁせっかくだから「これが好きなら絶対ビートルズは聞いとくべきだ~!」って思っちゃうのも分かるんですが(笑)。

何かのご縁で同時代の旗手になってくれた人に心酔するのも悪くないと思うんですよね。

 

とにかく今回言いたかったことは、先人も凄すぎてヤバイし、レモン・ツィッグスみたいな後進勢もやっぱり凄すぎてヤバイなってことでした(笑)。

 

Le Blind Test barré de The Lemon Twigs


またもや音楽クイズで。

曲当てやフレーズ当て企画ってアーティストのパーソナルな音楽性が見えてけっこう好き。それに意外と普通に意思疎通とれそうなことが分かって良かったです(笑)