今回は2018年アメリカはロサンゼルスより新たに結成された兄弟バンド、
The Driver Era ザ・ドライバー・エラ についてご紹介していきたいと思います。
久しぶりに聞いたらコンディション的に“丁度いい”感がすごかったので、
今の日常がしっくりこないと感じている方へ、ひょっとしたらおすすめできるかもしれないと思い書いてみました。
かなり個人的な考えと体験についての内容も含みますので、音楽だけ聞きたい方はどうぞそこらへんはすっとばしてご覧ください。
マジになってるの、私だけ?
最近は毎日たくさんの出来事が起こりますよね。
目を疑うような報道や、じれったい議論、色々な不安渦巻く環境。
ふと我にかえると、正直自分でもよくこんなカオスな状況で「もって(保って)いるな」と感じるぐらい衝撃的な出来事の連続だったりします。
筆者はほぼ右脳だけで生きてきたような人間なので、当然これまでもこういう世間の揺らぎによって自らのコンディション維持に失敗した経験もあり、
世間のことにはある程度鈍感になった方がいい場合もある、と心得てきたつもりでした(このブログでは隠せていませんが 笑)。
けれど今年はじまってから(決して昨年ではないのです)の“色々”はカオスすぎ…というか、信じられないようなことの連続で、
これは人としてちゃんと受け止めなきゃいかんと、スルー“できない”のではなくスルー“しない”ことを自ら選択。
そんな自分の思いとは裏腹に、周囲はいつもと変わらない様子に見えて、
「ジタバタしてるの、私だけ?」
「マジになってるの、私だけ?」
と、勝手にちょっとした疎外感を感じたりさえしてしまいました(本当に勝手に、です)。
色々なことに向き合ってその度に考え、自分なりの意見をもって答えや解決法を見出しても、
そもそもの周囲との温度差や根本的な見方の違いに悩んだこともあります(表面上はうまくやってるから尚更ね)。
この一方的に感じた他者との「乖離」もボディーブローのごとく、私のコンディション不良にジワジワ効いていったように思います。
そしてとうとう、
いい加減考えること自体がしんどくなってきたんですけど……!
と思った時、たまたま目(耳)にとまったのが The Driver Era ドライバー・エラ の音楽だったのでした。
結論から言えば、彼らの音楽を聞いて何かが変わったわけではないけれど、
マジなままでも一息ついていいよね…
と、“アンテナを立てたままいったん停止しよう”という心持ちになれたのは、私にとって小さな救いになったような気がします。
このひどく奇妙な気持ちのバランスを保たせてくれた彼らのサウンドに興味がわき、今回の記事を書くきっかけになりました。
メンバーと略歴
The Driver Era ドライバー・エラ はアメリカのロサンゼルス出身のオルタナ系ロックバンド。
元 R5 の Ross Lynch ロス・リンチ(三男) と Rocky Lynch ロッキー・リンチ(次男)の兄弟によって2018年に結成されました。
曲のほとんどを自分たちで制作し、ギター、ベース、ドラムなど多くの楽器もプレイするマルチプレイヤーでもあります。
とくにロス・リンチは俳優としてのキャリアもあり、ディズニーチャンネルの『Austin & Ally 』や『Teen Beach Movie』でご存知の方も多いかもしれません。
過去在籍していた R5 は、ロス、ロッキーほかの兄姉や友人で結成されたポップバンドで、主にティーンネイジャーから支持を集めました。
2015年リリースのセカンドアルバム『Sometime Last Night』はアメリカのチャートにて最高6位をマークするなど人気のバンドとなりましたが、2018年にはSNSにて事実上の解散を発表。
アカウントをそのまま引き継ぐ形で The Driver Era が始動していますが、ツアーのバンドメンバーとしてR5メンバーがサポートするなど関係性は続いているようです。
こうなると R5と The Driver Era との音楽性の比較に注目がいくわけですが、
とくに筆者が強く感じた変化が
カルチャーの変化に敏感で柔軟であるという“しなやかな”音楽性、
そしてその中に見え隠れする
自分たちの音楽を探求していくという冒険心
です。
R5 - Pass Me By (Official Video)
R5 の音楽もバリバリにキャッチーながらライティングはなかなか繊細で(実際に当時のローリングストーン誌から褒められていたような記憶があります)、
The Driver Era ではその繊細さはそのままに、もっと自由に、さらに先を見据えたようなサウンドになっているのが特徴的です。
成熟や老成とは違う、煮詰めた後に漂う旨みというか、緊迫した線を緩めたとき生じる解放から生じる浮遊力というか、捉えどころのない心地良さとパワー。
バンド名にあるとおり、気ままにドライブしながら色々な風(色々な音楽のジャンル)を感じて前へ進んでいく、名を体であらわすようなサウンドだと思います。
彼らはこれまでに一枚のスタジオアルバム『X』をリリース。
つい先日、2021年のワールドツアー開催もアナウンスされました。
2020年のツアーはキャンセルになっていたので、ファンには待望のお知らせですね。
オススメの音楽
前述したように The Driver Era の音楽は、漂うようなサウンドが秀逸な音楽です。
その一方で、気だるさのようでそれとは異なるギラギラした探究心も彼らの音楽の根柢に流れているように感じます。
ここではそんな彼らの、ありのままに自由への欲求があらわれた筆者のお気に入りの曲をいくつかご紹介していきたいと思います。
The Driver Era - Feel You Now (Official Video)
2019年リリース。アルバム『X』にも収録されています。
R5にも通じるキャッチーなアンセム的コーラスラインが特徴ですが、ベースパートをしっかり作りこんでいて、一つ一つの音選びにもセンスが光るなと思った曲。
すべての曲に言えることですが、ロス・リンチのアレンジ手腕はThe Driver Eraでも健在。
全体をとおして沈み込んでいくような質感なのに相反するような浮遊感もあり、決して曲の表情がシリアスになっていないところがいいです。
The Driver Era - LOW (Official Video)
2018年リリース。アルバム『X』にも収録されています。
ギラギラしつつもきちんと洒落たことをやるのが The Driver Era 。このバランス感覚、私たちもどこかで何かに応用できないか?と思うぐらい冴えてます。
プレコーラス部分の引っかかりが肝ですが、インディーバンドのようなヴァースと無駄に洒落の効いたコーラス部分をうまくつないでるな~、といつ聞いても惚れぼれしちゃいます。
THE DRIVER ERA - Preacher Man (Official Video)
2018年リリース。アルバム『X』にも収録されています。
この曲で The Driver Era の音楽は幕をあけました。野心味が凄い…(笑)。
でも自己陶酔とはまったく違うものを感じて聞き耳をたてなくなるサウンドです。
冒頭からトーキングボーカルをかましながら、曲名が『Preacher Man』というところにも新たな挑戦への気概を感じます。
派手さはないけどしっかりしたパンチがあって好きです。
The Driver Era - A Kiss (Official Video)
2019年シングルリリース。 おもいきり80年代サウンドにふった曲。
歌詞はさておき、良質コーラス生産工場の顔をもつ彼らの別な表情も見えたようでお気に入りの曲です。
このちょっと時代錯誤的なサイケ感(トランス要素)が漂っているのも、The Driver Era に自由味を感じる理由かもしれません。
マジなまま、泳ぐように思考したい
いかがでしたか?
冒頭の個人的な話に戻りますが、私は彼らの音楽を聞いて“考えることを放棄せず解放する”という奥義(笑)を得ました。
いったん休憩しよ!とか、少し距離を置こう、というような“癒し探し”とはちょっと違う。
その情報に自ら飛び込んで浸ってる(ぐるぐる考えてる)んだけど、顔は水面から出してしっかり呼吸しながら、水中ではずっとバタ足して溺れずには済んでるみたいな。
そんなのお前の匙加減やろ!と思われるかもしれませんが(自分でもそう思います)、
彼らの音楽のなかにある浮遊感、それとは真逆のメラメラした闘争心のようなものを感じて、なんとなく自分の心の中を把握できた気がして楽になれました。
もっと泳ぐように思考できたら、自分にも周りにも余裕をもてるのかもしれませんね。
かと言って、
この“癖による失敗”というのは気を付けていても繰り返してしまうものなので、
その度にめげずに、新たな音楽やアートで勝手に回復しながらボチボチやっていきたいと思います。
超個人的なお話になってしまいましたが、
The Driver Era の音楽はまさにドライバー主導の音楽を提供してくれており、実際のドライブにも気分のドライブにも選択のドライブにも最適ですよ、というお話でした。
今回もここまで読んでくださりありがとうございました。