「回避不可避の中毒性」
彼女の音楽から感じる中毒性の出所は一体どこにあるのでしょうか。
ダークで艶やか、ときにリスキー。ある時にはポップでコケティッシュ、ある時には寒気さえ感じる毒性。
一つ一つの歪さ残るピースをうまくつなぎ合わせ、独自の音楽を創り続けるアメリカ出身期待のシンガーソングライター。
今回は2021年5月14日に待望のデビューアルバム『CHAOTIC 』をリリースする Ellise についてご紹介していきます。
◆Bubblegum Brain
略歴
Ellise はロサンゼルスを拠点に活動するシンガーソングライター/プロデューサー。
サンフラシスコ、ベイエリア出身。
父親が聞くクラシックロックや母親のアラビック音楽に囲まれて育ち、学生時代には合唱団に参加したり、カラオケもよく楽しんでいたそう。
高校卒業後はすぐに音楽の道へ進むため、ロサンゼルスへ。デビューアルバムにむけてスタジオでその創造性を磨いていきます。
ほとんどの曲を彼女自身が手がけており、いずれもスリリングかつセクシーな音色が特徴的。
近年影響を受けたサウンドには
Ariana Grande, Lorde, Dominic Fike, Lana Del Rey, Amy Winehouse, and Flo Milli
などをあげています。
数年前からソーシャルメディアを通じ活動を始めた彼女ですが、今回のデビューアルバム『Chaotic』には並々ならぬ思い入れがあるよう。
2020年のロックダウン中はじっくり自己の創作性とも向きあったという彼女。
これからはライブストリームや音楽フェスへの参加にも意欲的でますます活躍の場が広がりそうです。
おすすめ曲(全て癖になる曲です)
Ellise の曲の特徴はなんと言ってもその中毒的なボーカルアレンジにあります。
とくにパンチラインがあるわけでもなく実験的サウンドに挑戦しているわけでもないのですが、とにかく何度でも聞いてしまう。
ここではそんな中毒性の高い彼女の“癖になる曲”をご紹介していきます。
筆者はこの曲を聞いてからというものの、常に実際に聞いているか脳内再生されているか、の日々を送っています。
親しみのあるメロディーラインですが、そのつなぎ方や曲展開、ダークな世界観とポップス感のバランスがとにかく絶妙。
当ブログ記事のいくつかもこの曲を聞きながら書いていて、“ながら聞き”としても優秀。夜中のドライブにもフィットしそうですね。
彼女の楽曲のなかで一番のお気にいりです。
◆Feeling Something Bad…
もうこのままArianaへ楽曲提供してもいいんじゃないか、というぐらい素晴らしい仕上がりです(サムネに引っ張ぱられすぎでしょうか 笑)。
一つ一つの音のクドさや必要以上にドス響くビート、どこをとってもむず痒さを覚えるほどの中毒性です。
コケティッシュなコーラスパートとドラマチックなサウンドで、ともすればダークウェーブ一色になりそうなところですが、
よきところ、よきタイミングでダウナー系に落とし、ポップスとしても実に収まりのいいバランスになっています。
ある一定のラインからは決して熱を注入させない、彼女の音楽観がよく表現されていると思います。
◆Pinky Promise
2018年にアップされているので少しだけ曲調の変化が見えるかも。このぐらいシリアスにふりきった曲もいいですね。
コーラスパートはベースラインしか拾えない曲構成になっているので(とくに第1ヴァ―ス)、おそらく歌唱力もなかなか高いのでは。
ストレートで繊細な歌声でも聞かせるので、今後表現の幅も広がりそう。ざらつく歌声もとても魅力的です。
“この世界観のままで”彼女のラップソングも聞いてみたいな~
◆Our Breakfast
うって変ってメランコリーでアコースティックなサウンドの一曲。
Elliseの声は“夢想”を表現するのにうってつけだな~とつくづく思います。
普段はナイトメア感強めですが、たまにはこんな“光堕ち”(堕ちには変わりないけど…)な曲もいいものです。
作り手として、パフォーマーとして
コケティッシュなダークさのなかに、少々荒っぽさも垣間見える Ellise の音楽。
個人的にはその部分にこそ魅力を感じていて、この余白を埋めていくのか埋めぬまま進むのか、今後の音楽性に非常に興味があるアーティストの一人です。
それでいて一つ一つの音の並びは緻密で繊細に作られているので、何度聞いても飽きのこない仕掛けがたくさん使われているところもいい。
そしてどこか「君、見ちゃったね…?」とでも言われているような、
スリリングな秘めやかさが流れているので、リスナーとしてはなかなかの特別感も味わえます。
大物アーティストに曲を提供して、のし上がっていくアーティストもたくさんいるので(Sia、Skyler Grey、Meghan Trainorなど)、その道でも活躍しそうな職人的気質もビリビリ感じたり。
彼女が熱望しているアリとのコラボも現時点で“ありえそう”と感じさせるのがすごい。
とはいえ、個人のイメージコンセプトもバッチリな彼女。
これからは“dark & Pink ”を見たら Ellise を思い出しそうです。
今回もここまでお読みくださりありがとうございました。