いきなりですがレトロなサウンドが好きです。
さらに言えば、そこにバルカンサウンドが入るとその狂おしさにうっとりしちゃったり…(怖)
今回はずっと注目しているイギリス歌手の Annique アンニークについて、そしてそのサウンド部分のパートナーでもある
レトロサウンドの私的大本命 Annique アンニーク
Annique(アンニーク)は イギリス出身のシンガー。
幼い頃から歌が好きで、5才になる頃には姉妹と一緒に完璧なハーモニーまで奏でていたというアンニーク。
イギリスの ACM アカデミー・オブ・コンテンポラリー にてバックシンガーなどを務めライブパフォーマンスなどを学ぶ一方で、Mike Skinner(マイク・スキナー)や Gorillaz (ゴリラズ)などのビッグネームとの仕事も経験しています。
その後、マルチ楽器プレイヤー兼プロデューサーの Koby Israelite (コビー・イスラエリテ)に紹介され、ともに制作したのが彼女のデビューアルバム『Heads up』です。
このアルバム、レトロサウンド好きには垂涎もの。
なかでもシングル「
彼女は影響を受けたシンガーにアリス・ラッセル、エイミー・ワインハウス、クイーン、ジョニ・ミッチェル、フランク・シナトラなどをあげています。
レトロサウンドのリームブメントのリムーブメント、という側面もあるものの、ところどころにジョニ・ミッチェルのような確固とした意志が垣間見えるのも魅力的。
近年エイミー・ワインハウスによって火を灯されたオールドミュージックへの憧憬。
アンニークはそれをブリットポップのような翳りを付け足しながら、うまく昇華しているように思います。
別の見方をすれば、アデルのようなメロディー主軸のクラシカルポップスの面が強いとも言えますね。
同アルバム収録の「
ディープなジャズをベースにサイケデリックな浮遊感のなかアンニークの声は縦横無尽に歌います。
彼女の声の、何と「ちょうどいいレトロ」さか…
少しこもって少しかすれて、攻撃的でもあり感傷的でもある。低音から高音まで力まずに切り替えられるし、ファルセットは乙女のようなセンチメンタルボイス。
聞きやすいのに流し聞きも可能なんて優秀すぎます。
ライブでの歌唱力もバッチリ聞かせます。
ちなみにこのアルバムをリリースしたドイツの Asphalt Tango Records アスファルト・タンゴ・レコーズ は、小規模ながら質のいいバルカンアーティストを扱っています。
ジプシーやロマ系バンドがお好きな方はぜひチェックしてみてくださいませ。
Koby Israelite コビー・イスラエリテ の愛すべき音楽フェチ
一方のコビー・イスラエリテはソングライター兼プロデューサー。
アコーディオンのオジサマです。
お聞きの通り【東欧サウンド~バルカン~ロマ・ジプシー~ハードロック】をライフワークにしています。
なので、思いついたようにツェッペリンの東欧バージョンをアップしては、ツェッペリンファンのわたしを狼狽させます(笑)
アンニークも共犯だったか…。うむ、許す。
ちなみにコビー氏はモル・カルバシとも仕事していたり。
これなんかめちゃくちゃ刺さった曲です。
彼は正統派トラディショナルミュージックやワールドミュージックにも造詣が深く、実に引出しの多い音楽家でもあります。
二人の化学反応が爆発する レトロ好きにおすすめの曲
コビー・イスラリテの一見突飛なアレンジも、なぜかしっくりくることが多いアンニークの曲たち。
コビーはたくさんのアーティストと仕事しているけれど、ポップス要素も大切にしている彼女の声と重なることで、とてもスムーズに聞きやすくなる印象があります。(濃厚なコビー節は大前ですが)
感傷パートと爆発パートの緩急のつけ方がまさにイスラエリテ。
でもアンニークの歌がうまく誘導しているようにも聞こえる。サウンドよりもボーカルが冷静という、けっこう貴重な関係性のようにも思えます。
しっかし、歌うまい……
個人的に一番のお気に入り!
なんといっても、ファンファーレ・チョカルリアのジプシーブラスがたまらない。
そうかと思えばサビはもろオールドポップスだし、もうこれはコビー氏のフェチなんじゃない…?と思いたくなる変態的展開におののき(褒めてます)。
くそー、なんて贅沢なチョカルリアの使い方なんだ……
パンクの狂気さをレトロの狂気さでオマージュしてる…。「ロンドンコーリング」言うてますやん!!
この音楽的なコントラストをうまく誘導できるのがアンニークの声なんだろうな…
レトロを全面に打ち出した1曲。
アンニークの声はノスタルジーに徹していますが、サウンドの癖(へき)が自重しないのもいいです(笑)
コーラスワークも素晴らしいし、後半のアコーディオンの響きも美しい。明かりを消して、一日の終わりに聞きたくなる曲です。
まとめ
途中からコビー氏の音楽性(癖)に話がそれたような気がしないでもないですが、まずもってすごいのはアンニークの歌唱力です。
トラディショナル、レトロ、ロック…と何でも歌いこなせて、それぞれに陰影をつけるのもお手のもの。
声質もすごくいいし、まさに思い描いた現代ビンテージサウンドの旗手です。
なかなか日の目をあびないのが不思議でもありますが、今後もこの二人の音楽に注目していきたいと思います!