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【アフリカ マリ共和国】本格ブルースバンド Songhoy Blues ソンゴイ・ブルース

 

Optimisme

えっ…ジャケットかっこよすぎない…?

 

以前こちらの記事でもちらっと書きましたが、今回改めてアフリカ発の本格ブルースバンド Songhoy Blues ソンゴイ・ブルースについてご紹介したいと思います。 

ブルースロックのなかでもやはりデザート(砂漠)・ブルースは格別なもの。

今回は憂いや哀愁だけではない、西アフリカのデザート(砂漠)ブルースの魅力について書いていけたらと思います。

 

 

メンバーと略歴

 

Songhoy Blues(ソンゴイ・ブルース)が世界に注目されるきっかけとなったのは、間違いなくこの曲でしょう。

 

Songhoy Blues - Soubour (live performance)



この衝撃はすごかった…

音が鳴った瞬間、実際に「ひゃっ!」っと声に出していました(笑)。

Songhoy Blues(ソンゴイ・ブルース)は西アフリカに位置するマリ共和国ティンブクトゥ出身の4ピースバンド。

ソンゴイとは自分たちの民族を指す言葉です。

2012年に始まったマリ北部紛争から逃れるため故郷を去ったのち、首都バマコで結成されました。

メンバーは

Aliou Touré(アリユ・トゥーレ)ボーカル
Garba Touré(ガルバ・トゥーレ)ギター
Oumar Touré(ウマール・トゥーレ)ベース
Nathanael Dembélé(ナタネール・ダンベレ)ドラム

2013年 彼らは Africa Express (欧米ミュージシャンやプロデューサーがアフリカ現地のミュージシャンとコラボするプロジェクト)のパフォーマーとして選ばれ、その後ヤー・ヤー・ヤーズのギタリスト、Nick Zinner ニック・ジナー に紹介されます。

その後ニックと創られたのが、この『Soubour』(忍耐)です。
この曲は『Africa Express Presents: Maison Des Jeunes』に収録されミュージシャンの間でも話題を呼びました。 

 

 

その後2015年にファーストアルバム『Music In Exile』を発表し、2017年セカンドアルバム『Résistance』をリリース。

 

 

Résistance

Résistance

 

そして2020年10月には待望のサードアルバム『Optimisme』をリリース。順調にキャリアを重ねています。

 

Optimisme

Optimisme

 

おすすめ曲

 

彼らのサウンドはブルースロックをベースとしていますが、メンバーはヒップホップの影響を受けたことも公言。

ほかにもビートルズ、ジミヘン、ジョン・リー・フッカーなどの音楽を好んで聞いていたようで、「砂漠のブルース」のなかに時折荒々しい抵抗をみせるサウンドはここから由来しているのかもしれません。

エフェクトを使用していないエレキギターをガシガシ鳴らす厚みのあるサウンドや、アフリカンビートを多用したワールドミュージック系の音楽を得意としています。

ここからはそんなソンゴイ・ブルースの曲について、とくにオススメの曲をいくつかご紹介していきましょう。

 
BADALA 



今年のロックアルバムのなかで一番骨太だった印象なのが、彼らのサードアルバム『Optimisme』でした。

アフリカ(とくにマリ)の苛酷な現状に加えてのコロナ禍…それでもこれまで通り日々を闘いぬく人たちについて、彼らは敬意を表し高らかに祝福しています。

 

この曲は家長制度や男性社会においても自分らしくあろうと生きる若い女性たちについてのファイトソング。

力強くもキャッチーなサウンドがキュートで、何度もリピートして聞いてしまいます。 

 

Barre 

 

同じく『Optimisme』収録。彼らの母国語であるソンゴイ語で歌われるとともに、英語・フランス語で訳されています。

 

Youth! Let’s rise for this change!

Just as Yesterday knew how to welcome Today,

Just as Spring knew how to welcome Summer,

And Summer knew how to welcome Winter,

Old age must welcome Youth

 

出典:YouTube  Songhoy Blues - Barre (Official Music Video) + Lyric Translations 概要欄より

 

若者たちには変化を促し大人たちにはそれを受け入れるよう訴えており、タイトルの“Barre(Change)”が示すように社会の変化について歌っています。

苛酷な状況で暮らすなか切々と、そしてどっしり歌われるこの歌詞には、日本で暮らす私でさえ痛く感動しました。

 

昨日が明日を迎え、季節がめぐっていくように、世代や社会の循環はごく当たり前のことで、その変化は普遍的なもの。

とても力強く痛快で、それ以上に美しい歌詞です。

 

Should I Stay Or Should I Go



ファーストアルバム『Music In Exile』デラックス版収録。クラッシュのカバー。

まさしく80年代然としたギターフレーズから瞬時にアフリカンビートに様変わりしていますが、意外にもスムーズに切り替えられていて音楽的にブツ切りになっていないのも心地いいです。

 

Bamako

 

Résistance』では故郷マリでの日常を明るく綴っています。

紛争や飢餓などのイメージもあるアフリカですが、週末はこぞって街に繰り出しドンチャンやる、という楽しい一面もあり、そんな生活を表現してくれています。

もしかしたら日常を続けるという意地が、いつの時代も権力に対する市井の人々最大の「抵抗」なのかもしれません。

このアルバムではファンクよりのサウンドも顕著に。

 

ほかにも彼らはイギー・ポップやエルフ・キッドとも共演しています。

ブライアン・イーノが絶賛していたり、ストロークスのジュリアン・カサブランカスが自身のサポートアクトに起用したり、何かと本格的なミュージシャンから支持が熱いソンゴイ・ブルース。今後もワールドワイドなコラボに注目が集まります。

 

まとめ

 

今回は西アフリカで展開されるデザートブルースの新星ソンゴイ・ブルースについてご紹介しました。

前述しましたが、今年リリースされたサードアルバム『Optimisme』はアフリカンロックのなかでも比較的聞きやすく、且つ高潔なエネルギッシュさで変革を訴える、まさにロックな一枚となっています。

 

必死で今日を生きぬく人たちへ送る彼らの音楽は、困難をともにする今の時代だからこそ、まるで違う環境に暮らす私たちにも、彼らの心へ寄り添う一瞬を届けてくれるのかもしれません。 

 

もし彼らの音楽でアフリカ砂漠の音楽に興味をもって頂けましたら、こちらもどうぞ。