日本でも何度か起きているアカペラブーム 。
最近ではペントニックスがダイナミックなアレンジ、そして電子音のような鮮烈なビート音で近未来のアカペラを体現し話題になりました。
今回はそんなペンタトニックスのほかにも、素晴らしい歌声をもつ世界のアカペラグループをご紹介したいと思います!
第一弾はこちら
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Voctave ヴォーカティブ…大興奮!プロのアカペラグループ
ペンタトニックス好きならご存知の方もいるかも。
ペンタトニックスのメンバー、カースティンと音楽関係者のジェレミーがボーカルをとったディズニーメドレーです。
もちろんこの二人も素晴らしいのですが、やっぱりバックコーラスの壮大さには目を(耳を?)奪われてしまいます。ときには星空のまたたきのように、ときには轟く瀑布のように… 繊細さと豪快さを声だけでここまで表現できるなんて驚きです。
まさに「コーラス・オーケストラ」ですね。ぶっとびです。
ヴォ―カティブは男性6人、女性5人をメンバーにもつ、プロのシニアコーラスグループ。これまでにアルバム7枚をリリースしています。
実際にメンバーのJamey Ray ジェレミー・レイがアレンジャー、Tony De Rosa がプロデューサーを兼任しており、グループとして厚みがあるのも特徴。
リードボーカルは曲によってかわります。そして誰もが素晴らしい歌唱力の持ち主でもあるんです。
この曲のリードはクリスタル・ジョンソン。幼い頃からディズニー関連でパフォーマーをしていたこともあり、いまだ美しくみずみずしいボーカルにうっとりです。
そしてトップを担当しているケイティ・ロットの異次元な高音ボイスは必聴!…果たしてこの異次元の高音をトップとして表現していいのか…。軽やかに美しく、しかも耳障りもよい高音というのは希少です!
こちら、初聞きしたのが電車のなかで思わず「ううッ……」と声を漏らしてしまった1曲。
Mary, Did You Know - Voctave feat. Mark Lowry
もはや製作者のマークさんが気の毒になるぐらいの爆発力。中盤の畳み掛けはまさに音の洪水です。おそるべき倍音につぐ倍音…音が膨らみ、さらにさらに増えていく。アレンジャーのジェレミー、ほんといい加減にしてくれ…(褒めてます)
あなたはこの音の波に耐えられますか?
BYU Vocal Point BYU ボーカルポイント…受け継がれる正統派男声アカペラ
ユタ州の大学コーラスグループ。(ほかに女性コーラスグループの BYU Noteworthy もあります。彼女たちについては第一弾でとりあげています。)
大学の生徒で結成されるので毎年卒業メンバー、入学メンバーがいます。9人構成は変わらないので、パート人数は固定かも。
1991年に結成されてから2006年には国際学生アカペラコンクール(ICCA)で優勝。2013年にはアカペラオーディション番組「Sing Off」のサードシーズンに出場するなど、近年の活躍は目覚ましいものがあります。
この『主よ 御許に近づかん』は讃美歌の一つ。タイタニック沈没の際、乗船していたバンドメンバーが演奏したと言われており、映画『タイタニック』の沈没シーンでも使用されました。
穏やかで温かみのある解釈が多いなか、こちらは緊迫感に包まれた圧倒的な荘厳さ、そして畏敬の念を全面に出しており、より男声にマッチした歌唱になっています。やはり男声はビートも兼ねたアレンジがよく合いますね。
お堅いものだけでなく、ディズニーやポップスメドレーなど幅広いアレンジに強いのも特徴。
実写映画『美女と野獣』を記念して。レクシー・ウォーカーを招いて豪華メドレーをお披露目。
ファレル・ウィリアムスのヒット曲「ハッピー」をよりダウナーにアレンジ。
青ジャケットがユニホームなんですが、わたしはこれ見ると「銀シャリやん!」…と一人ごちてしまう。
Voice In ボイス・イン…ブラジル版ペンタトニックスの呼び声高いテクニシャン
ブラジル南部の都市ポルト・アレグレ出身の男女5人組。
メンバーは
ベース:Felipe Andrade(右)
ビートボクサー:Luiz Kremer(左)
テノール:Rafael Strey(中央)
メゾ:Debora Neto(右から2番目)
メゾ:Ariane Wink (左から2番目)
視線をあわせながら歌っていると、こちらも気分が楽しくなりますね。
5人という構成だからか、それともビートボクシングが少し似ているからか、南米のペンタトニックスという印象を受けます。メンバーもとてもバランスがよく、もっと人気が出るんじゃないかなぁと個人的に思ったり。
サンディー&ジュニアのメドレーも耳馴染みがよく、アレンジもうまくまとまっています。
英語圏の曲も。
同じ曲をプレイしてもどこからともなく匂いたつ南米の香り…。てらいのないアレンジですが、どことなくビートの躍動感に踊らされるのはお国柄故でしょうか。
現在でもリモート・アカペラに力を入れ、この状況でも精力的に活動しています。(詳しくは彼らのFacebookにて)
いつかリアルなブラジルの青空をバックに彼らの声を聞いてみたい、と祈るように思いをはせる日々です。
Home Free ホーム・フリー…おもしろカントリー・アカペラグループ
こちらもペンタトニックスがお好きな方にはお馴染みかもしれません。シング・オフの第4シーズン優勝者です。(ペンタトニックスは第3シーズン優勝)
2000年結成以降、幾度ものメンバーチェンジをへて、ここ数年はこの5人固定で落ち着いています。
無骨な男声グループかと思いきや、キャッチーでチャーミングな魅力があり女性支持も強いグループです。男性グループという強みを活かしてか、おふざけのようにゆる~く活動している(アカペラはもちろん完璧ですよ!)姿にファンは癒されるのかもしれません。
その一方でガチガチのカントリーコラボもやったりするので目が離せません。
オーク・リッジ・ボーイズと。
今回の厳しい状況でもユーモアを忘れず、ファンを励まし歌い続けています。ゆるさの中に垣間見える男気にファンは惹かれるのかもしれません。
トイレットペーパーをとりまくアレコレをビリー・ジョエルのオネスティーによせて。トイレットペーパーもまさかビリー・ジョエルとコラボするとは思わなかったであろう…。しかもこんなにロゴてんこもりで大丈夫なんだろうか…。
リモートプロモ。
彼らのプロモーションビデオはとにかくたくさんあります。すべて見るのはかなり時間を要しますが、とにかく楽しく見れますので是非チェックしてみてください!
Anthem Lights アンセム・ライト…クリスチャンのボーカルグループ
しれっとイケメンなのずるいよね…。
定義的にアカペラとは異なりますが、ハーモニーが美しく、広く知っていただきたいグループの一つです。
アメリカはナッシュビル出身のクリスチャン・アカペラグループ。
メンバーは
・Chad Graham 主に高音担当
・Caleb Grimm 主に中音域担当(この曲では歌いだし)
・Spencer Kane 主に低音担当
・Joey Stamper 主に中音域担当(この曲では2番目に歌いだし)、楽器も複数担当
2010年にデビュー。アカペラ界ではなかなかの中堅どころですが、ワーシップシンガーだからでしょうか、まったくみずみずしさが消えないのが魅力。
個人的にもっと人気がでていい実力とビジュアルを兼ね備えていると思います。全員素直な発声なので、声を重ねてもメンバーの声質がぶつからないところも好感度高い。アレンジもシンプルに見えて、ところどころにナッシュビルらしい土っぽさがあってとてもオシャレです。
ワーシップソングだけでなくポップスも歌います。
バックストリート・ボーイズをマッシュアップ。ミディアム・ポップス一辺倒かと思いきや、なかなか凝ったアレンジ。
美声でふりかえる2019年。「Bad Guy」の扱いがかわいくて笑ってしまう…。
個人的にはキュートなのに紳士的な声のスペンサーにやられています。
まとめ
うわっ……ふりかえるとほぼアメリカ中心になってしまいました。反省。次回はヨーロッパや南米、アジア圏のアカペラグループを中心に書きたいと思っています。
同じ曲でもアレンジによって、そして歌い手によってガラっと変わるのがアカペラアレンジの魅力です。曲の解釈の仕方や表現の違いでその種類は無限にうまれ、わたしたちの心を飽きさせません。
今は大変な時代ですが、アーティストたちもリモート・ミュージックでその歌声を届けてくれています。たまには一息ついて、お部屋の明かりも消して、ゆっくりとハーモニーに酔いしれるのもいい気分転換になるかも。
そして何より、また彼らのコンサートに心おきなく参加できる日が一日でも早く訪れますように願わずにいられません。