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ドイツラッパー CRO(クロー)に注目!ラップとヒップホップ、そしてドイツ語の相性を考えてみた。

Never Cro Up

 

言葉が分からない国のラップを聞く意味とはなんだろうか…。

そんな詮無きことを思いつつ、今日もひとり異国のラップを聞いています。

 

こんにちは。よあけのアラームです。

ということで、今回はドイツで人気のポップラッパー CRO(クロー)についておブログしていきたいと思います。 

 

 謎多きドイツの天才ラッパー CRO(クロー)とは?

 

CRO(クロー)はドイツのラッパーであり歌手、プロデューサー兼デザイナーです。
自身のパフォーマンススタイルを「ラップ(rap)」と「ポップ(pop)」をかけあわせた「ラオップ(raop)」と呼んでいます。

 

そして彼の特徴はパンダのお面をかぶり、一切の素顔を明かさない奇抜なそのスタイル。

お面をかぶる理由は単純で、仕事とプライベートを区別したかったからなのだとか。
そして誰もが思う「なんでパンダ…?」というお面のチョイスも、単にパンダが一番クールだったからだそう。

 

キャリアの始まり

 

1990年生まれのCROは、13才で曲作りを始めます。

シュトゥットガルトのボーカルスクールにて学び、2009年には初のミックステープを制作。
続く2011年に完成した2枚目のミックステープはフリーダウンロードの形をとり、このテープを通じてドイツの HIPHOP 歌手 Kaas の目にとまるまでに。

 

Kaas を通じて Chimperator Productions レーベルの設立者 Sebastian Andrej Schweizer に出会い、彼のキャリアは始まります。   
 
 

実質的なデビューシングルにあたるこちらのMV。


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パンダのCROは出て来ませんが、MV中のどこかにパンダがまぎれているのがかわいい。
このMVはYouTubeにて2000万viewを達成します。

この頃からメロディラスでムーディーなベース、軽快でスムーズなラップ、という彼のスタイルはすでに確立されています。

 

Traumの成功  ドイツ国内からアメリカ・ヨーロッパまで

 

ファーストアルバム『Raop』はバカ売れし、このアルバムからシングルカットされた5曲すべてがドイツ国内ヒットチャート100にランクインするまでに!

そして続くセカンドアルバム『Melodie』からのファーストシンングル『Traum』で彼のキャリアは決定的なものとなります。
 


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こりゃ売れるわ……。

日本でもこの曲を皮切りに注目をした方も多かったかも。
とにかくブリリアント!なベースに「そこまでノル?」というほどストレスフリーなクロのラップが最高に心地いい。

 

この曲を聞くとドイツ語とラップの相性がいいのがわかると思います。(※後述)
キャッチーなのに流し聞きが出来るっていうのも楽曲として優秀。

今ではドイツで不動の人気者になったCRO。
その人気は国を飛び越え、ヨーロッパ、ひいてはアメリカでも注目の的になるアーティストに成長しました。

 

代表曲・おすすめ曲

 

お洒落なジャーマンラップのなかでも、CROの楽曲はさらにキャッチーで聴きやすいものが多くあります。

ここではおすすめの曲を少しだけご紹介します。

 


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これぞCROって感じの絶妙にポップで絶妙にヒップホップなナンバー。

とにかくバックトラックに脱帽です。

この適度な気だるさと温もりのあるビート、そこに掴み上等なフックがかかり、「1million 2milion…」と畳かける高揚感は、聞き手にとっては至福のとき

 

 


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アメリカのチャンネルで披露したものですが、最近のCROの方向性があらわれている曲と言えそう。

キャッチーさを残しつつ、全体的にダウナーっぽいサウンドを強調。ラップもポップよりというより、アート面に適したものを追求しているように聞こえます。 

 

MTVアンプラグドにも出演!

 

彼はMTVアンプラグドにも出演しています。 

MTV Unplugged (Deluxe Edition)

MTV Unplugged (Deluxe Edition)

  • Cro
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥1681

 

このアンプラグドアルバムはとても充実していて、ポップアルバムとしてもラップ・ヒップホップアルバムとしても、非常に満足できる内容となっています。

是非ご一聴あれ!

 


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これを聞くと、彼の潜在的なポップスDNAにときめきを感じずにはいられません。 

 

なぜドイツ語でラップなのか   

1、そもそもドイツ語がラップに適している

そもそもなぜドイツ語のラップ?と思われるかもしれません。

その理由はドイツ語のもつ特有な子音の立ち上がりにある、とわたしは思います。

話し言葉としては時に攻撃的にも聞こえるドイツ語ですが、それが音楽にのせると輪郭がはっきりとした実に表情豊かな言葉に聞こえるんです。

“イッヒ” のように破裂音のような発声も特徴的。

よく聞いてみるとフランス語の「r」を発音するような濁音も混ざっていたりします。また、ウムラウトに代表されるような母音の音を曲げながら、奥行を出す発声方法もあります。

さらにドイツ語のアクセントは基本的に第一音節だそう。

この規則性はラップをつくる上で非常に有利なものです。言葉を連ねていると、音楽には必要不可欠な強弱の流れが「規則的」に出現するわけですから。

 

と、それっぽく書いてしまいましたが、わたしはドイツ語未学習者なので難しいことは分かりません。

ですが、ドイツ語という言語がそもそも線と点の使い分けが非常に豊富であること。

その跳ね方・うねり方が自由自在でとても音楽的だというのは、確かにその通りなんじゃないかなぁと思うのです。

 


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2、バックトラックのクオリティが高く、とにかくおしゃれ

 

ドイツ語ラップはとにかく、全体的なバックトラックのセンスがズバぬけています。

ラップ=ヒップホップ=けだるい=BAD、みないなイメージが先行してしまう方もいるかもしれません。

けれど、ジャーマンラップはバックトラックだけで十分な「音楽」になりえるんです。

 


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今回ご紹介したCROはポップとラップの中間をアートワークにしているので、そもそも曲がメロディラスではあるのですが、

それでもこのバックトラックのクオリティには唸るものがありますね。

 

 

いかがでしたか?

CROの楽曲には「ラップはあまり聞かない…」「ヒップホップってなんだか近寄りがたくて…」という方にも気に入って頂ける曲がたくさんあると思います。

さらにはドイツ音楽の入り口としても最適!

ドイツ音楽は移民文化や歴史的背景で多様な音楽シーンが確立されています。バックトラックのセンスが高いのも、結局はこれが理由だと思います。

トラディショナルミュージックもおもしろいグループがたくさんあるので、これから紹介していければいいな。

 

CROの今後の活動にも是非ご注目を!